2020 Fiscal Year Research-status Report
留学生のキャリア意識・支援の実態解明と組織横断的なキャリア支援システムの構築
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19K00747
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
寅丸 真澄 早稲田大学, 日本語教育研究センター, 准教授 (60759314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 明香 東京立正短期大学, 現代コミュニケーション学科, 准教授 (30442106)
佐藤 正則 山野美容芸術短期大学, その他部局等, 准教授 (50647964)
家根橋 伸子 東亜大学, 人間科学部, 教授 (80609652)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 留学生 / キャリア意識 / インタビュー / アンケート調査 / パイロット調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、まず本研究の質的調査として、中国人留学生をはじめとする留学生に対するインタビュー調査を継続し、その調査分析結果をまとめた。本調査では、特に4年制大学における中国人留学生の留学目的の曖昧さと、自身のキャリアに対する意識の稀薄さ、日本の就職活動に関する知識の不足が観察された。一方、そのような希薄な状況にあっても、授業等でキャリアについて考える機会が与えられることにより、将来の進路が意識化され、具体的な行動を始めるという事例も散見されており、意識の稀薄さという現象のより詳細な実態解明が必要である。 次に、留学生のキャリア意識を調査するための量的調査として、アンケートの試作版とそのパイロット調査、およびパイロット調査を踏まえた完成版の作成を行った。アンケートは45問の選択肢と一部記述式の質問から構成されている。所属の異なる中上級レベルの日本語能力を有する留学生約40名を対象にアンケートのパイロット調査を行い、質問文の整理と修正を行った。また、調査対象となった留学生の中に漢字に困難を感じる留学生がおり、回答に時間を要したため、ふりがな版を作成した。これら2種のアンケートを首都圏4年制大学留学生100名、地方4年制大学40名、首都圏短期大学10名の留学生に実施し、翌年度も調査を継続している。なお、パイロット調査の一次分析では、首都圏大学と地方大学では、留学の目的や、日本語力を就職のために活用しようとする姿勢に大きな差異は見られなかったものの、就職の目的や自身のキャリアに対する意識、および大学の支援体制等に差異が観察された。 さらに、これらの留学生調査に加え、留学生のキャリア支援に関わる関係者に対するインタビュー調査も進めた。調査は継続中であるが、多様な大学およびキャリアセンターにおいて就職支援を行う複数の関係者からは、留学生に対する情報提供と支援の不足等が指摘されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は2019年度に実施する予定であったインタビュー調査とアンケート調査の分析、および留学生のキャリア支援に関わる教員や職員に対するインタビューを実施する計画であった。しかし、COVID19の拡大の影響により、大学における授業、研究が長期間にわたってオンラインとなった上、留学生数が減少し、当初計画していた調査協力者の確保が不可能な状況が継続した。その結果、留学生に対するインタビューやアンケート調査が遅滞したが、アンケート調査については、すでにパイロット調査を終え、本調査を実施しており、調査協力者を2021年度も継続的に確保し、調査分析を実施する予定である。 また、留学生、および留学生のキャリア支援に関わる関係者に対するインタビューもCOVID19の影響があったが、すでに済ませている調査に加え、さらに異なる立場の関係者から多様な声を集め、調査結果をまとめたい。 なお、2020年度に実施する予定で準備していた研究成果の報告も、学会の中止や延期により、報告の場を十分に得られずに終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、留学生に対する質的インタビューと量的調査、留学生のキャリア支援に関わる関係者に対するインタビュー調査を継続的に進める。その後、それぞれの調査結果をまとめると同時に、統合的、俯瞰的視点から留学生支援の問題点を明らかにし、その改善策について検討する予定である。 まず、留学生に対するインタビュー調査については、留学生数の多い中国人留学生や韓国人留学生のほか、ベトナム人留学生等、異なる背景を持つ留学生に対して行い、その差異を明らかにする。アジア系留学生と比較して人数は少ないが、ヨーロッパ圏から留学している留学生等も対象にし、キャリアに対する価値観や考え方、態度の多様性を解明する予定である。次に、留学生を対象としたアンケート調査については、2021年度も継続的に、首都圏および地方圏において調査協力者を確保するとともに、一定数の回答収集後に分析を行い、全体傾向の解明に努める。一方、留学生のキャリア支援に関わる教員や職員についても、継続してインタビューを実施し、その結果を整理する。 これら対象の異なる複数の調査結果を文脈化しまとめることにより、留学生のキャリア意識の実態と留学生のキャリア支援に関わる関係者の支援のありよう、およびそれらのずれを多視点から明らかにする。そして、これらの調査結果を通して、留学生支援の問題点を統合的、俯瞰的に解明し、その改善策を検討する。
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Causes of Carryover |
2020年度は、COVID19の拡大の影響により、アンケート調査、インタビュー調査といった調査が調査協力者の確保という段階から遅滞した上、研究成果の報告も実施できない、あるいは延期されるという事態となった。特に、2020年度には、複数の海外発表が計画されていたが、それらが延期となっている。そのため、予定していた学会出張費、調査費が費消されていない。今後は、遅滞していた調査および報告を順次進める予定である。調査や報告の進捗に伴い、経費の費消も随時進むと考えられる。
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