2020 Fiscal Year Research-status Report
サハリン在留日本人とその家族の越境のライフストーリー
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19K00754
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Research Institution | Yamano College of Aesthetics |
Principal Investigator |
佐藤 正則 山野美容芸術短期大学, その他部局等, 准教授 (50647964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三代 純平 武蔵野美術大学, 造形学部, 准教授 (80449347)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | サハリン残留日本人 / 永住帰国 / モデルストーリー / 二世の語り / 複言語・複文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、北海道や関東近辺に在住する永住帰国者の方々、サハリンに在住する残留日本人とその家族へのインタビューを実施し、インタビューのアーカイブ化、論文化の準備を進めていく予定だった。 しかし、2020年度もコロナ感染の影響で、サハリンでのフィールドワークは中止せざるを得なかった。また、日本国内においても、永住帰国者は高齢者が多く感染のリスクを考えるとインタビュー活動は自粛せざるを得なかった。その中でコロナ感染症が比較的落ち着いていた時期に東京在住の永住帰国者数名にインタビューを行うことができた。サハリン残留日本人のモデルストーリーだけではなく、今まで聞かれていなかった二世の語りを記録することができ、サハリン残留日本人の世代間の語りの多様性を認識することができた。 また、コロナ禍で調査が進まない中、言語文化教育研究学会の第7回年次大会(2021年3月6日「アートする教育」)において、サハリン残留日本人の支援者、写真芸術家と共同で、サハリンについての発表を行った(「サハリンをめぐる写真と語り―露・韓・日そして先住民が織りなす言語・文化の多様性に学ぶ「共に生きる」チカラ」)。本企画によって、サハリンの歴史、サハリン社会における複言語・複文化性を参加者と共有することができた。 2021年度は、継続して関東圏、北海道の永住帰国者とその家族へのインタビュー、また支援者へのインタビューを進める。高齢化する永住帰国者への支援策を言語教育の観点から考察しする。さらに、量的には不十分ではあるが、2019~2021年度のインタビューをまとめ、学会発表、論文化を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度の調査は、サハリン、北海道、関東地方における残留日本人とその家族を数回に渡って実施する予定であったが、新型コロナウィルス感染症蔓延のため、サハリン、北海道におけるフィールド調査(ライフストーリーインタビュー)を実施することができなかった。関東圏の調査も人数的には十分ではない。以上が現段階では遅れているとする理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症は変異株の蔓延という新たな局面を迎えており、この状況は当面収束しない可能性がある。そこで、少なくとも2021年度の前半はサハリン残留についての言説(映像含)の収集整理、また移民政策、複言語複文化関係のレビューを行う。同時に、量的には不十分ではあるが今までのフィールド調査をまとめて、発表、論文化を試みる。コロナ収束後は、改めて日本国内、サハリンのフィールド調査を再開する。その際、残留日本人の定住を支援する機関、人にも調査の枠を広げ、言語的な支援のあり方についての研究も進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症拡大のため、予定していたフィールド調査がほとんどできなかったため次年度使用額が生じた。コロナ終息後、サハリン、北海道の調査を再開する予定である。研究については1年の延長を検討している。
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Research Products
(1 results)