2019 Fiscal Year Research-status Report
欧米とアセアンの(準)英語圏間を越境する日本人学生たち:その動機と留学成果
Project/Area Number |
19K00756
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
小林 葉子 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (00352534)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | アセアン準英語圏 / 欧米英語圏 / (脱)英語ネイティブ志向 / 英語留学言説 / 留学複数回 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の土台となる過去の調査では、「アセアン準英語圏での英語研修経験者100名」と「欧米英語圏での英語研修経験者100名」を対象にし、留学動機と英語ネイティブ志向についての差異の有無と程度について調査をした。ただその際は、複数回の英語留学経験者がいることを十分に考慮した質問紙ではなかった上、アセアンと欧米という二つの英語圏の両方での留学経験者に関してはその渡航順序について質問していなかった。過去の調査と先行文献を踏まえ、本研究では研修経験の異なる3タイプの(元)学生たち―(a)「欧米英語圏のみ」(100名)、(b)「アセアン(準)英語圏のみ」(100名)、(c)「欧米とアセアンで両方」(100名)-を対象に、留学動機などのデータを収集し、グループ内・グループ間でデータ分析を行い、近年浸透しつつある次の教育言説を検証することとした:(1)アセアン研修の優位性(例:同じノンネイティブの「アジア人」教師の存在と英語不安感の軽減)、(2)「短期アセアン研修→欧米での長期研修」という2段階モデルの有効性。なお、アンケート調査参加者へ偏見を抱かせないため、質問紙では「(準)英語圏」という表現は使用せず、個別の国名を列挙した(欧米英語圏5か国、アセアン(準)英語圏3か国)。現在データを分析中だが、質的・量的データ双方をみても、言説とは異なる回答例がかなりみられる。例えば、欧米1回目→アセアン2回目というパターンが半数近く見られる上に、アセアン研修先行経験者の中にも「英語留学するならば、レベルに関係なく最初に欧米の国に英語留学した方がいい」と回答している例が見られる。韓国人や中国人など多くの留学生は将来のキャリアのために最終的には欧米での大学機関での学位取得を目指すが、この世界の流れとは異なり、語学・異文化体験重視の「留学」をする日本人学生の置かれた立場や英語観についてさらに分析していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集に置いては予定通りであるが、発表予定であった国内と国外での研究大会はすべてコロナウィルス問題等で中止または1年延期となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
1年目のデータ分析を進め、調査成果を報告する論文を執筆しつつ、学会発表の応募・準備等を行う。なお、2年目は研究計画に基づくと、欧米と(または)アセアンの語学学校にて英語留学中の日本人学生たちと関係者を対象にしたアンケート調査とインタビュー調査を行い、1年目のオンライン調査で得られた結果と一致するのかどうか、さらに分析・考察をする予定である。しかしながら、この計画はコロナウィルス問題継続によって実行不可能となる可能性が非常に高い。
|
Causes of Carryover |
コロナウィルス問題のため、参加・発表予定であった国内と国外の学会がそれぞれ中止・延期となったため。今年度(2年目)においてもこの問題が長期化しそうであるため、計画通りに助成金を使用できない可能性が非常に高い。
|