2019 Fiscal Year Research-status Report
A Study of Hedges Used in Academic Research Articles
Project/Area Number |
19K00761
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤村 香予 山口大学, 経済学部, 准教授 (80736554)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | Pragmatics / Hedges / Metadiscourse / Academic Writing / Applied Linguistics |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は, 英語のアカデミックライティングで重要とされている「ヘッジ(垣根表現, 緩衝表現, 配慮表現)」の使用を英語母語話者と日本語母語話者の学術論文において比較分析することで, 日本語母語話者の英語のヘッジの習得と使用について語用論の観点から考察するものである。 2019年は英語の学術論文のヘッジの使用を英語母語話者と日本語母語話者の文系論文と理系論文の間で比較した。主に数字により科学的な根拠が立証され論文全体の語彙数が少ない理系論文では文系論文に比べ英語のヘッジの使用は全体的に少なかったが, 英語母語話者による論文では人数など数量を表す際にも英語のヘッジが使われていた。英語のヘッジは英語母語話者による文系論文で最も多く見られ, 複数のヘッジが1文で使われている割合も英語母語話者の文系論文が最も多かった。英語母語話者の文系論文では筆者自身を守りながら自身の主張を和らげるヘッジの使用が頻繁に見られた。日本語母語話者の研究者もある程度のヘッジを使って英語の論文を執筆していたが, 英語の論文におけるヘッジの使用の意味を十分に理解しているかは定かでない。英語のアカデミックライティングで, ヘッジとして使用されている語彙の使い方とその意味を認識することで英語の学術論文の執筆に活かしていくことができると思われる。 本研究の成果の一部は2つの国際学会で発表され, 研究結果は2020年の学会支部の研究紀要に研究論文として掲載された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は英語のアカデミックライティングにおける「ヘッジ(垣根表現, 緩衝表現, 配慮表現)」の使用を英語母語話者と日本語母語話者の学術論文のデータを使って分析している。2019年は学術論文におけるヘッジの使用を英語母語話者と日本語母語話者の理系論文と文系論文の間で比較し分析した。ヘッジの区別と分類は, Hyland(1996)のヘッジの定義に基づいて行われた。本研究で使用した研究論文のデータでは, 筆者の主張や研究結果の提示に使われているヘッジの数と種類は分野によって多少異なることが確認できた。理系論文と文系論文では論文全体の語彙数が異なり, 議論される内容も異なることから使用されるヘッジの数と種類も異なっていた。 本研究の成果の一部は, 2019年6月に香港で開催されたThe 16th International Pragmatic Conferenceと同年8月に名古屋で開催されたThe 58th JACET International Conventionで発表された。また大学英語教育学会中国・四国支部研究紀要第17号に研究論文「Hedging Used by Native English and Japanese Writers in Hard and Soft Disciplines of Academic Articles」として掲載された。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では, 英語母語話者による英語の論文の他に日本語母語話者による英語の論文と日本語の論文の3つのグループにおいてヘッジの使用を分析し, 英語母語話者と日本語母語話者によるヘッジの使用の違いを明らかにするとともに, 英語と日本語のことばの概念と使い方の違い, 言語間でのプラグマティック・トランスファー(語用論的転移)について考察をする。 そのため今後は3つのグループの中から, 日本語母語話者の日本語の論文と英語の論文の間でヘッジの使用を比較分析していく。日本語母語話者の日本語の論文においても異なる研究分野のデータを用いて文系と理系の間で分析していく。データ分析では量的分析と質的分析を行っていく。これらの分析からどのようなプラグマティック・トランスファー(語用論的転移)が日本語と英語の間で見られるのかを確認し, 日本人英語学習者に認知されにくい英語論文のヘッジの使用を考察する。日本語母語話者の英語のヘッジに対する認識と理解について語用論の観点から考察していく。その後これまでのデータ分析をまとめ, 英語母語話者の英語の論文, 日本語母語話者の英語の論文と日本語の論文の3つのグループの間でヘッジの使用とその意味について考察する。
|
Causes of Carryover |
物品購入等において、見積もり合わせにより見積もりより安く購入できたため、未使用額が生じた。次年度使用額については, 2020年度分と合わせて本研究で必要となる消耗品である書籍や資料に使用する予定である。
|
Research Products
(3 results)