2019 Fiscal Year Research-status Report
コンピテンシー育成のための留学生を活かした中国語教育プログラムと評価の開発
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19K00764
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
寺西 光輝 鹿児島大学, 総合科学域総合教育学系, 講師 (90782467)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中国語教育 / 留学生 / コンピテンシー / 協働学習 / パフォーマンス評価 / 行動中心アプローチ / CEFR / 学習ポートフォリオ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、共通教育としての初級中国語において、学習過程における《留学生との交渉・協働》を前提として、それを《教材》《パフォーマンス評価》とリンクさせた、新しい中国語教育モデルの開発を行うものである。 初年度は、実践の基盤となる教科書を作成しながら、留学生との交渉・協働を促し、社会文化的な実践を記録・評価するための補助教材の開発にあたった。また日本人学生と中国人留学生の交流の場としての「中国語ラウンジ」を開設しつつ、授業を学内外の中国人留学生や研修生と結びつける取り組みを行い、基礎的データを収集した。 「中国語ラウンジ」は、中国語圏の留学生との交流と、授業外学修の場として5月に開設し、そこで中国人留学生と日本人学生が中国語を通して実施できるアクティビティーを開発した。 7月には、2回にわたって香港および台湾の大学からの短期研修生との交流活動を実施し、それに向けた学生の準備資料の収集を行い、さらに当日のアンケート調査を実施した。入門段階での留学生との交流にむけた日本人学生の学習状況や態度、中国語の使用状況等のデータを収集することができた。 2月には、著書『使って学ぶ!中国語コミュニケーション』を出版するとともに、学習を社会へと広げ、留学生との交渉・協働を促し、またそれを評価するための「中国語ポートフォリオ」、「Can-do評価シート」等の補助教材を作成した。なお、教科書は、CEFRの行動中心アプローチに基づくA1レベルの内容であり、教室内の協働にとどまらず、社会や学内で使っていきながら学ぶことを前提としたものである。ポートフォリオは、ELP(ヨーロッパ言語ポートフォリオ)等を参照し、交流や体験そのものを自己判断で記載できる体裁にした。ポートフォリオは、初年度に学生に使ってもらいながら修正作業を行い、令和2年度(2年目)より教科書の付属教材として配布を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた基礎的なデータを収集することができ、また教材開発も順調に進めることができた。教材では、CEFRの「行動中心アプローチ」に基づくA1レベルの教科書を出版し、中国語圏の人との交流や文化的体験を記録し、それを評価するための「中国語ポートフォリオ」(A1レベル)を開発することができた。また、中国人留学生にCan-doリストをチェックしてもらえる体制づくりのための予備調査を実施し、今後の実践および評価方法の策定に向けた基盤を整えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、得られたデータを元に論文作成にあたるとともに、作成した教材を活用した実践研究を進めていく。また、各種「パフォーマンス課題」も開発し、「学習ポートフォリオ」を中核に、「コンピテンシー」を評価するための仕組みを検討していく。 一方で、新型コロナウィルスの影響により、中国からの新入生や交換留学生の受け入れが困難になり、観光客の来日も難しい状況であるため、学生が日常や学生生活においてネイティブと接する機会は相当減ることとなった。また感染防止の観点から、大学内での留学生との対面交流および、その際のデータの収集も当面難しい状況であるため、本研究の内容に相当大きな修正が迫られることになった。当初の研究目的を達成するため、オンラインでの交流や自宅での中国文化体験等の実施を含めた、新しい研究・実践手法を開発し、その効果を検証していく予定である。
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Causes of Carryover |
研究費充足率が申請に比して低く、次年度以降の研究計画に支障がでかねないため、当初予定していた使用額を減らし、主に物品費を個人研究費を使ってまかなった。 本年度はオンラインによる留学生との交流を想定した授業形態やその評価手法の開発をしていくため、人件費および機器の購入に使用していく予定である。
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