2023 Fiscal Year Research-status Report
幼児・児童の英語力および意識・態度に影響を及ぼす家庭要因の特定と関係性モデル構築
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19K00769
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
羽山 恵 獨協大学, 外国語学部, 准教授 (60409555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 裕美 神田外語大学, 児童英語教育研究センター, 准教授 (10716434)
及川 賢 埼玉大学, 教育学部, 教授 (60262218)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 小学校英語教育 / 家庭の影響 / 保護者の関わり / 小学生の英語能力 / 小学生の英語学習への意欲 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに得られたデータの分析から、学校外で英語を学習している児童は、英語に自信を持っているが、学校の授業に対して否定的である傾向が見られた。一方で、より早期から英語教育を受けてきた児童は、学校の授業に関して否定的ではないが、英語に関して自信がある児童が多いというわけでは必ずしもなかった。 保護者が自身の英語力を低く評価する(していた)その子どもたちは、反対に英語に自信があるが、評価を気にする傾向が見られた。一方で、大人になった現在、英語学習に取り組むことに意欲的な保護者の子どもたちは、英語の授業に否定的な傾向が見られた。つまり、子どもたちの学校外で英語学習状況や保護者からの英語に関する働きかけの大きさによって、子どもの英語学習意欲・態度に異なる傾向が確認された。 一方で、学校外で英語を学習している児童は、していない児童よりも英語能力テストの得点が有意に高かった。また、保護者の「小学校英語教育についての知識」と児童の英語テスト得点との間に弱い正の相関が確認された。情意に関しては、「外国語(英語)の授業に対する肯定感」という因子について、学校外で英語を学習している児童の方がより肯定的であることがわかった。 学校外での学習機会を持つかどうかは保護者の「思い入れ」のみならず、家庭の経済状況も大きく関わるところだろう。全ての児童が有意義な学習の機会を得られるよう、学校と家庭のより強い連携についても、得られた研究成果を基に論じていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
小学校でのデータ収集、特に保護者にも回答を求める場合は学校の許可と保護者の協力の両面において困難が伴う。 しかしながら、英語能力を測るにあたり外部テストを受験することを有益だと考えたり、各児童が持っているタブレットでの受験が比較的容易にできたり、保護者の学校英語教育への考えを知りたいという教員の意識の高まりも感じられ、本研究開始当初よりも好意的に協力下さる教員・保護者が増えたようにも感じられる。
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Strategy for Future Research Activity |
協力校が都市部に集中しているため、地方の比較的小規模な自治体においてもデータ収集を実施したい。 何らかの協働活動において信頼関係が構築されない限り、児童の個人情報や家庭の事情・教育方針にまで踏み込んだ調査を引き受けてくれる学校は少ない。 コロナ禍があり予定通りには進まなかった面もあるが、この4年間で築いた小学校や自治体との関係を活かし、さらなるデータ収集に努めたい。
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Causes of Carryover |
研究協力者が十分に確保することができず、英語能力テストの受験料として想定していた研究費の使用に至らなかった。 また、コロナ禍を経て各児童がタブレットを用い、家庭においても保護者・児童ともにスマートフォン等電子機器を使うことが通常になったため、研究計画・申請時に計上していた紙のアンケート用紙の印刷費・郵送費の使用が不要になった。
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