2019 Fiscal Year Research-status Report
日本人大学生英語学習者による英語詩タイプ別の読解プロセスの研究
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19K00790
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西原 貴之 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (50469590)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 英語詩読解 / 文学作品を使った英語教育 / NIRS / 脳機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、脳機能計測装置と視線計測装置を用いて、英語詩のタイプに応じて日本人大学生英語学習者の読解プロセスがどのように異なるのかを調べ、大学における英語文学教材読解指導モデル構築のための基礎となるデータを得ることを目的として、申請を行った。令和元年度は、調査計画の確定と調査材料の精選作業を行った。なお、当初、本研究課題は上記2つの装置をレンタルすることでの調査実施を予定していたが、レンタル料の高騰により、脳機能計測装置のみを使用した調査に切り替えることとした。令和元年度に行った具体的な作業は以下の通りである。 まず、英語詩読解研究に関する先行研究を収集、精読し、英語詩読解とはどのようなリーディング・プロセスであるのか、概念的に整理を行った。母語の読解プロセスを調べた調査と外国語での読解プロセスを調べた調査があったため、それらも区別して整理を行った。 次に、この概念整理をベースとして、調査計画を作成した。また、この作業の途中で、調査機器を脳機能計測装置のみにするという変更を行ったため、それに合わせて調査計画を微調整した。 第3に、調査で使用する調査材料を精選した。上記の調査デザインにおいて、用いる英語詩を短く、語彙もやさしいもので、かつ内容が学習者にとって身近で(宗教や文化など特定の専門知識を要するものは避ける)、不快な思いをさせることがないもの(性的内容や極度に気分を沈ませるものは避ける)とした。インターネットや図書館、さらに新たに科研費で購入した書籍などをもとに、用いる英語詩を確定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、令和2年度中に調査を予定している。当初は5月から2週間ほどの期間をかけて調査を実施する予定であり、それに向かって調査材料の精選、調査機器の手配、調査手順の計画を行ってきた。ただし、新型コロナウィルス感染症対策の関係で、現在その調査の実施時期を延期することとしている。現在のところ、延期後の調査時期はまだ未定ではあるが、調査を行う準備はできている。 また、調査を計画する途中で得られた知見をもとに、論文を2本発表し、学術誌に採択された(『JAILA Journal』(日本国際教養学会)、『LET関西研究収録』(外国語教育メディア学会関西支部))。 さらに、本調査を実施した後にその結果を適切に解釈できるように、英語詩読解研究についての資料を収集し、その内容も整理する作業も順調に進んでいる。 以上の理由から、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに述べたように、調査を今年度の5月に2週間ほどをかけて実施する予定としていた。しかしながら、調査においては、近距離で調査者が調査参加者の頭部に調査機器を装着することになり、濃厚接触の危険性がある。そこで、新型コロナウィルスが収束するまで調査を延期することとしている。 調査の実施自体は、新型コロナウィルスに関する状況次第となるので、現段階では予定を立てることができていない。しかしながら、本研究でより豊かな知見を得ることができるように、調査実施の目途が立つまでは、以下の作業を行う予定としている。 まず、調査材料や調査手順の再確認を行う。これらの精選や作成はすでに令和元年度で終了している。しかしながら、新たな文献を読むことで得られた知見については、可能な限りこれらに反映していきたい。 第2に、実際に調査を実施した際に得られた結果を多角的に解釈することができるように、関連する文献を収集し、英語詩読解に関する特性について、さらに整理を進めておきたい。
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Causes of Carryover |
すでに述べたように、レンタル料の高騰により、本研究課題は調査方法の変更を行った。それに伴い、購入すべき文献も減ることとなった。さらに、幸いインターネットや大学図書館などを利用し、必要な文献の多くを無料で入手することができた。また、調査材料に用いる英語詩についても、学内にある資料を利用して決定することができた。以上のような経緯から、次年度使用額が生じることとなった。 2年目は調査の実施を行う予定で準備を進めてきた。新型コロナウィルス感染症拡大によって、調査時期は目下未定であるが、次年度使用額と令和2年度請求分を使って調査を実施し(調査機器のレンタル料、必要機器の購入、調査参加者への謝金、調査アシスタントへの謝金などを賄う予定)、データの解析、結果の解釈を行う予定である。
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