2021 Fiscal Year Annual Research Report
日本人大学生英語学習者による英語詩タイプ別の読解プロセスの研究
Project/Area Number |
19K00790
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西原 貴之 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (50469590)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 英語詩読解プロセス / 文学を使った英語教育研究 / NIRS / 読解時間 / 解釈 / 字義理解 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、前年度に脳機能計測装置を用いて得たデータを分析し、3つの検討事項の結果の整理を通して、研究期間全体の成果(日本人大学生英語学習者の英語詩読解プロセスの特徴)をまとめた。検討事項は、(a) 学習者の読解プロセスは、詩のタイプによってどのように異なるのか、(b) いわゆる「文学的言語表現」はどのように処理されるのか、(c) 上記の事柄は学習者の文学経験や英語力といった個人的要因によって異なるのか、の3点である。しかし、詩のタイプ別の違いが見られなかったため、テクスト別での分析とした。日本人大学生英語学習者の英語詩読解プロセスについて、以下のような特徴が示された。 上記 (a) については、主に (1) 脳機能上ではどの作品も同じように読まれていた、 (2) 読解時間の長い作品、理解確信度の低い作品、難しいと感じる作品は一致する傾向があった、(3) 字義理解よりも解釈の方が読解時間がかかり、自身の理解確信度も下がる傾向があった、(4) 作品解釈で感じるテクスト困難度は個人差が大きかった、(5) 学習者は作品解釈を行うにあたって様々な問いを生成したが、自分自身で解決することができなかった、(6) 字義通りの内容を繰り返すだけで解釈に満足している学習者がいる一方で、より深い意味を見出すことができなかったとして確信度が低くなった学習者もいた、という結果が得られた。 上記 (b) については、(1) 文法的な逸脱表現は学習者の字義理解を著しく妨げた、(2) 文法的な逸脱表現は学習者の解釈プロセスに特異な影響を与えている様子は見られなかった、(3) 脳機能上は文法的な逸脱表現の影響は確認されなかった、という結果が得られた。 上記 (c) については、調査参加者全員が文学経験が乏しかったため、英語力との関係のみを検討した。しかし、一定の傾向は確認されなかった。
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