Outline of Annual Research Achievements |
1年生の英語の授業で,AI Speakerを利用したクラスと利用しなかったクラスとの比較授業実験を10ケ月行った.AI Speaker利用クラス(n=30)は,TOEIC 模擬試験が407点(SD:113)~604点(SD:92), AI Speaker不使用クラス(n=29)は, 447点(SD:93)~598点(SD:147)に上昇した.AI Speaker使用クラスの方が約200点の上昇がありAIの効果があった.3年生ゼミクラス(n=24)では,VR ゴーグル,AI Speaker (Google Home mini, Alexa)を1年間貸与し縦断的・経年的な質的調査を実施し,英語力が向上につながるよう学生に創意工夫させ,グループで数回経過報告をさせた.TOEIC 模擬試験とOPic Speaking 試験でかなりの点数上昇(TOEIC 模擬試験:222点上昇,OPic Speaking試験:95.9, 効果量0.74)が見られた.その他,AIを利用した英語学習に関するアンケート(n=234)から,AIは対面授業で利用するより個人学習や弱点や学習法を解析するなど,個人の家庭学習での利用法や高い動機づけがあることが判明した. アンケート調査の結果,VR を利用してYouTubeの動画を見ながらの疑似体験によって学習が促され,特にListeningと Speakingの練習を日常生活の中で習慣化できたことが得点の上昇につながったと推測される.VR(バーチャル・リアリティ)を利用した疑似体験に関してのアクティブ・ラーニング調査では,学生にVR用の画像作成をさせ,授業内で他の学生が作成したVR画像を英語で表現させるもので,高い動機づけ,語彙や表現の多様性が見られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AI やVRを利用した英語教育授業実験を通して,その効果の可能性が判明した.また2019年度に実施した疑似空間での学習がどの程度,シミュレーションを可能にさせるかの意識調査(234名)では,以下の回答が得られた.57.8%が,疑似体験ができる(とてもできる,できる)と回答,18.9%が,この疑似体験を通して,その状況にいる人の気持ちも理解できる(とてもできる,できる)だろうと回答した.また,スマートスピーカーやVRなどの人工知能に関してのアンケート調査結果は以下の通りである.1)人工知能が進化すると英語の勉強は必要なくなると思うか.54.1%がなくならないと回答.2)人工知能が進化し,先生がAIになると思うか.53.1%が先生はAIにならないと回答.3)人工知能が進化し,友だちがAIになると思うか.67.4%が友だちはAIにならないと回答.4)人工知能が進化しグローバル化が進むと思うか.76.4%が進むと回答.5)人工知能が進化し学習戦略を教えてくれるようになると思うか.60.4%が思うと回答.6)人工知能を生活で利用してみたいと思うか.51.5%が利用したいと回答.これらの回答からAI翻訳機が進化するなどの情報に翻弄されていないことが判明した.今後,VRを利用し疑似体験英語学習におけるActive learning の可能性が見えてきた. AIが個人の弱点や学習法を解析し,人間の能力を進化させることへの期待が高い事も同時に判明した.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度前期の授業はすべてオンライン学習となった.これにより留学の機会を失った学生たちが,Virtual Reality (VR) を利用することで同様の留学経験を得ること,さらに同様の英語習得が可能なのかどうか,その示唆を得るための調査を実施したい.過去の文献から,留学をVRによって事前にシュミレーションすることにより,不安回避ができ,高い動機づけにつながり,留学に出向く学生同士のチームワークが高まり,留学の際の問題発見能力が高まった等の報告がある.しかし,実際に英語力を向上させるための方策として,VRがどの程度貢献しているのかの報告はまだ極めて少ない.2020年度後期では,英語習得の側面からVRを利用し,海外に住む外国人と実際にインタラクションすることにより,学生がどのような新しい語彙,チャンクや表現を発見したのかを調査する.具体的にはSecond Life などのオンライン上のVRを利用し音声とテキストを利用し,実際に海外とのコミュニケーションを体験させ,その体験についてのアンケート調査と,その際に新しく出会った英語表現,語彙などを記述させる.また,AI Speaker を利用した再現授業実験を行い,AI Speaker 利用の英語教育における効果を実証したい.事前・事後テスト(4技能の測定)や事前・事後のアンケート調査(Learning Strategy,世界観,ICT literacy等)を実施し,学習記録を分析する.AI SpeakerとVR ゴーグルを授業のクラス全員に貸し出し,日常生活の中で利用を促し,再度どのようなソフトを使用し英語学習をしたか,学生自身に自主的に学習をさせ,その経過を発表させる.4技能の伸びや学習分析を計画し,それと関連させながらAIの可能性を探る.前期の授業がオンライン学習になったことにより,学生のICTスキル向上やICTへの使用価値をどのように広げたかも今回の研究結果に反映したい.
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Causes of Carryover |
1年目は、AIとVR を利用した基礎的な英語教育における授業効果実験を実施した。当初の予定では、ICTやBig Dataを利用した授業計画も考案予定ではあったが、受講者にあまりにも負担がかかるのではないかと考慮して、2021年度に行う事にした。そのために、物品費はそれほど費用は発生せず、次年度に持ち越した。ただ、AIとVR を利用した授業実験の発表を海外の学会で行う必要があり、旅費が発生した。英国 Cambridge 大学で開催された国際学会で, Best paper award を頂いたのは, 科研の研究の成果のおかげである。2020年度は、AI Speaker を利用した再現授業実験を行い、AI Speaker 利用の英語教育における効果を実証する予定である。事前・事後テスト(4技能の測定)や事前・事後のアンケート調査(Learning Strategy、世界観、ICT literacy等)を実施し、学習記録を分析したい。AI Speaker と VR ゴーグルを授業のクラス全員に貸し出しをして、日常生活の中で利用を促し、再度どのようなソフトを使用し英語学習をしたか、4技能の伸びや授業分析を計画している。2020年度は、研究課題にそって備品も購入して、国際学会発表も積極的に行う予定である。
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