Outline of Annual Research Achievements |
経済学部の学生60名を対象とした三次元VR授業実験を10ヶ月間行った。45分間のVRレッスンを8名の英語母語話者が,8名前後の各グループに教師として参加し,日常的な会話の英語レッスンを実施した。比較授業実験として,二次元のZOOM上で,海外から英語の母語話者(前期3週ごとに6名,後期は2週間ごとに9名)を招聘して発表・対話型重視のオンライン授業を10ヶ月行った。両グループとも,事前事後のOPIc Speaking Test +TOEIC(VRグループのみ),アンケート調査を実施し,VRの効果と対話型重視のZOOMを利用した比較授業実験を行った。VRを利用したレッスンでは,熱心に参加した学生は,TOEICで200点,OPIc Speaking(6~8)まで上昇した。アンケートの結果から,「VRを利用することにより,英語で対話をする時の不安がなくなり,楽しく学べ、高い動機付けができた」ことが判明した。VRグループは自発的に参加したので、最後まで学び続けた学生は30%程度であった。OPIcの事前事後の試験に関しては,有意差はなかった。ZOOMを利用した英語授業では,2週間ごとに重要なテーマ(世界遺産・世界観教育・SDGs・環境問題・異文化理解等)をスライドで準備し,MP4の音声動画も作成し,対話型の発表・討論形式の授業を英語母語話者と共に実施した。その結果OPIc Speaking test の事前(6.7:SD=1.36)から事後(7.4:SD=1.97)まで向上した。4月の時点ではまったく英語の発表ができなかった学生も,後期の最後には、自信を持って発表をする学生が多く見られた。授業実験から,VRによる疑似留学や異文化交流などの潜在的可能性,オンラインによって学生がお互いから学び合う協調学習の促進,人間(教員)と技術(AIやVRなど)の連携の必要性などを研究結果から得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
メタバースという言葉は,VR / AR技術を用いた世界のことを言い,2次元の空間で授業を受けるよりも三次元のVR空間でのレッスンの方がより現実的な疑似対話に近い。教育の現場でも,高い学修到達度を達成(実証・実装)できるVR(Virtual Reality),AR(Augmented Reality)を用いた授業が行われている。英語母語話者との対話,海外事前研修,現場実習等,疑似体験を行える授業を,アバター等を用いて,学生同士の学びの場を創出し,自主的な学びを誘導する取組の研究が行われている。2022年度の研究としては,授業実験において,VR/デジタル技術を上手に活用して,最適化の学び(Adaptive Learning)の実現,自発的な学び・気づきの効果的な誘導,学習方策,海外研修疑似体験等,VR教育の可能性を探りたい。三次元のVR空間を利用した英語教育と二次元のZOOM空間・対面授業の比較授業実験を通して,それぞれの利点・弱点を探り,より効果的なVRを利用した教育手法を構築したい。具体的には,60名を対象としたVRを利用したレッスンと30名を対象としたハイブリッド型対面授業の比較を行い(5月から開始予定),VRを利用した教育の可能性を探る。VRのレッスンでは,英語母語話者6名による「英語圏の言葉と文化」の講義を毎週45分10回ほど準備し,その内容に関して学生のプレゼンテーションを企画している。事前事後のアンケート調査・TOEIC・Speaking testを実施し,混合メソッド(量的・質的な調査)でその教育効果を探る。最後に,VRを利用した疑似体験(海外旅行,留学事前研修,ショッピング,エンタテインメント,トレーニング,実地訓練等)の可能性を考察しながら,Industry 4.0, Web 3.0 社会における教育のモデルを提唱する。
|
Causes of Carryover |
2年目のコロナ禍中の影響で,当初計画していた授業実験が実施できなかった。そのために,最後の年度は,メタバースの可能性を探るために,授業実験を再度計画している。5月から6名の母語話者を講師に招いて,VRを利用した授業実験を行う予定である。事前・事後のアンケート調査,Speaking Test を対象者に実施する。「英語圏の言葉と文化」をテーマに,VRを利用して,英語母語話者が45分の授業を10回行う予定である。同時に,VR を使用しないハイブリッド型・対面授業を行い,教育効果を比較する。前期の授業実験で欠如した箇所を後期の授業実験で行う予定である。特に三次元VRを利用したプレゼンテーションの技術と英語力が,二次元のハイブリッド型とどう違うかを検討する。これらの授業実験を行うために,以下の費用が必要である。授業実験の道具(VR用器具), メタバースの運営費用, Speaking Test を実施するための諸費用(Pre-Post), 国際・国内の学会発表の経費・旅費, 図書費用, 文具その諸費用(オンライン学習ソフト,Grammarly, Trinka, Quillbot等), 英語教育用諸経費
|