2022 Fiscal Year Research-status Report
A study on English education using AI, VR, and ICT
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19K00798
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
小張 敬之 青山学院大学, 経済学部, 客員教授 (00224303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 尚代 青山学院大学, 地球社会共生学部, 教授 (70756577)
S・G Lambacher 青山学院大学, 社会情報学部, 教授 (10254111)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | VR / 対面型対話授業 / 21世紀スキル / Society 5.0 / DX / 異文化適応能力 / 世界観の変遷 / VRと対面の比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度に実施した授業実験では、経済研究所の客員研究員として、イオングループと協力し、Immerse社のプラットフォームを使用して英語の授業実験を行いました。しかし、学生の英語能力に対する大幅な改善は確認できず、TEAPのSpeaking testやTOEICの前後テストにおける結果にも大きな変化は見られませんでした。それでも、アバターを活用した対話型授業により、学生達は英語学習に対する楽しさを感じ、外国語に対する恐怖感が薄れました。これは2021年度と2022年度で共通の結果であり、VRを利用した英語の運用能力向上策については、今後さらなる検討が必要と考えられます。一方、東京の私立大学の学生(41名)を対象にした対面式の対話型英語教育では、2クラスの大学生(各クラス20名前後)に対し週1回の90分授業を行い、毎月一度は若い英語母語話者8名をクラスに招待し、少人数(3名前後)で討論を中心とした授業を展開しました。学生達は21世紀スキルやDXに関連する10のテーマについてスライドを作成し、発表しました。また、PeerEval(発表評価)ソフトを使用し、母語話者が学生の発表を評価し、フィードバックを提供しました。この対話型授業の結果、学生のTOEICのスコアは平均で約70点向上しました。また、学生達は母語話者との対話に徐々に慣れ、楽しみながら英語を使用するようになりました。事前事後のアンケート結果からは、異文化適応能力の向上や世界観の拡張も確認されました。VRの利用は学生が英語使用に対する抵抗感を軽減する効果があることが示されましたが、母語話者と直接対話する形式の授業の方がより効果的であることが確認されました。その一方で、VRを用いた授業も技術的には可能であり、次の段階としては、VRを用いた授業がどのように効果を最大化できるのかを検討する必要があります。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度のVRを利用した授業実験では、参加者の減少が確認され、参加率が低下しました。参加者全員がボランティアの学生であったため、最後まで授業に参加して学習を続ける学生の数が減少したことも影響していると考えられます。しかし、この授業実験は、最後まで参加した学生に対するインタビューを専任の教員が実施することができる貴重な機会を提供しました。現在、これらのインタビューの分析を進めており、その結果を元にした研究により、より効果的な教育方法の開発や、VR技術自体の進化による教育効果の向上を追求するための新たな方向性を見つけることが期待できます。現状の課題と向き合う一方で、今後の英語教育における取り組みとして、再度のVR授業実験の実施を検討しています。また、VR技術を活用した新たな取り組みとして、海外との交流プログラムの実施も計画中です。これにより、学生達が異文化との接触を深め、異文化理解を深めることが期待できます。VR技術は、その没入感とリアルタイム性により、遠隔地でもまるで現地にいるかのような体験を提供することが可能です。この特性を活用し、異文化との交流を通じて学生達の視野を広げ、英語学習に対する意欲を引き出すことが目指されます。また、海外との交流により、学生達は自身の英語力を実際の場で試すことができ、更なる英語力向上を促すことができます。一方、VR授業の実施に当たっては、前回の授業実験で見られた参加者の減少という問題を解決するための対策も必要です。具体的には、学生のモチベーションを維持するための方法や、参加を促すための施策等を検討する必要があります。また、VR技術の進化とともに、VR技術と教育の融合は、新たな教育方法を模索する中での一つの試みであり、その成果はすぐには明らかにならないかもしれません。VRを用いた授業がどのように効果を最大化するかの検討が課題になると思われます。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度、2022年度とVRを利用した授業実験を行いました。2年間の授業実験を通してVR利用の限界も見えてきました。以下にいくつかの課題を検討します。課題1:海外とのVRを利用した異文化交流を探りたいと思います。 VR技術はユーザーを異なる環境や状況に"没入"させることが可能で、これは学習体験に対して深い影響を与えます。例えば、異文化の環境に"現地"にいるかのように没入させることで、学生がその文化を理解する能力を向上させることができます。また、リアルタイムな英語の会話環境を再現することで、学生が実際の英語使用の状況に対応する能力を鍛えることができます。 課題2:2023年度の研究計画として、教材の多様性を探ります。 VR技術を利用すれば、実世界の制約を受けずに多様な教材を提供することが可能です。これにより、教師は生徒の学習スタイルや興味に合わせて教材を調整し、より個別化された教育を提供することが可能になります。 課題3:学生のモチベーションを維持するための戦略の研究と最大限の教育効果を引き出すための方策を研究します。VR技術自体の進化とともに、その教育への適用方法や効果評価の方法についての研究も必要となります。これらの課題を克服することで、VR授業の可能性を最大限に引き出すことが可能になるでしょう。
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