2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of English Learning Program in Cooperation with Museums
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19K00805
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
清田 洋一 明星大学, 教育学部, 教授 (60513843)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ミュージアム・ラーニング / プロジェクト型学習 / CLIL / 生涯学習 / 自立的学習者 / 教科横断的学習 / 英語学習プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題は、複合的な思考力の育成や異文化理解の態度の涵養を目指したプロジェクト型の外国語教育の実践の調査・研究である。具体的には、教育的なリソースを提供する各種のミュージアムの教育活動など、プロジェクト型学習の実践に取り組んでいる海外および国内の教育機関の実態を調査・研究し、内容統合型の外国語学習プログラムの開発を行うことをめざしている。 2019年度は、ミュージアムの教育活動及び学校のCLIL的実践情報収集の調査、および、小学校と高等学校において試行的なプログラムの実践を行った。 ミュージアムと学校の教育活動の調査においては、様々な博物館や美術館がそれぞれ独自の教育的な活動を行っていることが分かった。しかし、ミュージアムの教育活動はそれぞれが独自に行っている企画活動が中心で、学校のニーズを配慮していないものが多いことが判明した。また、学校の方も、ミュージアムの活用に際して、学年末の行事として博物館見学を行うなど、日常の教育活動に沿った活用にはなっていないことが判明した。この実態は、あらためてミュージアムと学校の教育活動を有機的につなぐ重要性を示している。 また、2019年度は小学校と高校において試行的なプログラムの実践を行った。小学校での実践はミュージアムのリソースを活用して,外国語コミュニケーションに必要とされる「観察力, 思考力, コミュニケーション力」の向上をめざした。対象の生徒たちは観察力とコミュニケーション能力の向上をめざした創造的活動な活動に意欲を示していた。高校では「アートマイル」という海外の学校と協働で壁画を描くという実践に取り組んだ。これは国際的なプロジェクト型学習で、海外校の教科横断的な協働学習となる。この2つの試行的な実践から、外国語学習におけるミュージアムのリソースを活用の可能性を確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【情報収集・調査について】 連携ミュージアムのリストアップ、連携ミュージアムの展示テーマおよび教育活動の調査、ミュージアムが提供する教育活動リソース(オンライン上も含む)の調査は概ね予定通りに進んでいる。ほとんどのミュージアムは体験的な展示学習だけでなく、オンライン上で教育活動リソースの提示の開発を進めている。学校での調査は、協力校を中心に中等学校レベルの一般的な教科シラバスや教科横断的なプロジェクト型学習の実態を調査している。学校の実態では英語学習は教科学習としての枠内に留まり、言語技能の習得が中心的な教育目標になっていることが判明した。2019年度に試行的に行ったミュージアムのリソースを活用した小学校と高校の教科横断的学習な取り組みが有効であることが確認できた。 【ミュージアムと近隣の学校での連携的な教育活動について】 2019年度の小学校の実践では、ミュージアムという施設の理解(観察力),ミュージアムの展示物(アートカード)による観察力の向上(観察力),鑑賞における多様性の理解(思考力),自己表現活動を通じた自尊感情の向上(コミュニケーション力),活動全体に必要な英語の語彙と表現の習得(コミュニケーション力)をめざした。実践終了後の担当の教師と学習者にアンケート調査でも、本実践の有効性を高く評価する結果となった。また、高等学校の海外の学校との連携的なプロジェクト学習では「協働で壁画を作成するという実践において、文化や考え方の違いを乗り越えてコミュニケーションを行う重要さに気づいた」という趣旨の意見が多く見られた。このような研究結果を踏まえて、関東近辺のミュージアムと近隣の学校での連携的な教育活動の準備も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度はさらにミュージアムとの本格的な連携活動に取り組む高等学校のプログラムを追加する予定である。このプログラムの取り組みでは、小学校から高等学校まで学校種別、またミュージアムの種別に分けたプログラムの開発をめざしている。しかし、関東近辺のミュージアムと近隣の学校での連携的な教育活動を予定していたが、新型コロナウィルスの影響で、学校での対面型授業が出来ないこと、ほとんどのミュージアムが休館となっている実態があり、連携的な教育活動も休止状態となっている。そのため、ミュージアムのオンライン上のリソースを活用した学習方法の調査研究を行っている。これらのリソースは学習者が学校やミュージアムに実際に訪問しなくても、遠隔的に学習に取り組めるメリットがあり、自立的な学習方法への可能性がある。 2021年度は、新型コロナウィルスの影響を踏まえて、2020年度の教育活動や開発プログラムの進捗状況を見ながら、「実践方法の開発、英語学習プロジェクト別の試行」を行う予定である。その際に海外の同種のプログラムを実施している学校との連携もめざす。 2022年度は、協力校においてミュージアムと連携したプログラムの本格的実施を行う。また、国内外の学会において開発プログラムの発表を行い、開発研究の参考にすると同時に、協力校および協力ミュージアムの拡大をめざす。 2023年度は研究の最終年度として、実施したプログラムの検証と評価を行う。同時にプログラムの普及活動も行う。
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Causes of Carryover |
2019年度においては、本研究のこれまでの研究成果を年度末の学会(言語教育エキスポ:JACET教育問題研究会主催)でワークショップの形式で発表予定だった。そのため、資料制作費、共同研究者の旅費を計上していたが、新型コロナウィルスの影響で該当の学会が2021年度に延期となり、その予算が執行できなかった。また、2021年度に行う予定の関東近辺のミュージアムと近隣の学校での連携的な教育活動も同じように延期となり、それに必要な予算(資料作成、旅費など)が執行できなかった。 また、2020年2月に予定していたミュージアムの教育活動訪問調査も新型コロナウィルスの影響で、ミュージアムが休館となり実施できなかった。 執行できなかった予算は、ウイルス感染の状況が治まり次第、2021年度内に同じ内容で執行予定である。また、できるだけオンライン上で可能な調査研究の方法を追究して、そのために必要な機材や資料費として執行する予定である。
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Research Products
(2 results)