2022 Fiscal Year Annual Research Report
外国語教育における性的少数者への配慮に関する調査研究
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19K00851
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
糸魚川 美樹 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (10405152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚原 信行 京都大学, 国際高等教育院, 教授 (20405153)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スペイン語 / 外国語教育 / ジェンダー / マイノリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
主に次の4点を実施した。 [1] スペインのバルセロナ市、マドリード市にて実施された、ジェンダー関連のデモ行進におけるプラカード等における言語資料の収集:男性形-o、女性形-aが規範的な語尾であるが、これに対しそのどちらでもない-e形、-x形が、性の二分法を回避するための用法として利用されている例が確認された。今回収集した例をもとに、性の多様性と現在のスペイン語の性の表され方について、2023年5月に開催される日本ロマンス語学会にて「性の多様性とスペイン語の文法上の性」という題目で発表し、学会誌に投稿する予定である。 [2] スペインのジェンダー平等省が運営する女性資料センター及びカタルーニャ州女性資料センターにて、19世紀後半から20世紀に女性活動家によって執筆された文献の調査の実施:19世紀後半から、スペインでは女性の社会進出およびフェミニズム運動が徐々に大きくなり、1931年から内戦が終わるまでの第2共和制の時代、女性参政権が国会で承認され1度だけ普通選挙が実施されている。当時の女性活動家たちが、スペイン語の性の非対称的なあり方をどうとらえていたかを探るため、女性参政権獲得のために尽力した女性活動家たちの著作物から「言語」に関する記述を収集した [3] 性的多様性と外国語教育について、外国語としてのスペイン語およびカタルーニャ語教材の分析:カタルーニャ語に関しては、教材がスペイン国内のカタルーニャ語圏での使用が想定されているためか、スペイン語教材に比べ、登場人物の描かれ方が多様であるということが確認できた。 [4] 20世紀後半のスペイン語の「非性差別使用」ガイドライン作成に携わった研究者へのインタビュー: 1980年代から活発になったガイドラインの作成は、アメリ合衆国の影響というよりはヨーロッパ独自の動きがあったことがインタビューを通じてわかった。
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