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2022 Fiscal Year Research-status Report

日仏バイリンガル話者の異文化間語用論能力の解明と教育への応用

Research Project

Project/Area Number 19K00857
Research InstitutionSophia University

Principal Investigator

原田 早苗 (井口早苗)  上智大学, 外国語学部, 教授 (30286752)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2024-03-31
Keywords日仏バイリンガル / 異文化間語用論
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、日仏バイリンガル話者の異文化間語用論能力について調査し、実際のコミュニケーションの場で生じる問題を分析することである。長年フランスで生活し、職場および家庭を含む多様な場面で両言語を日常的に使う日本人を研究対象とし、半構造化インタビューを通してデータの収集を進めている。
初年度の2019年度は渡仏してインタビューを行なうことができたが、2020年度および2021年度はコロナ感染拡大のため海外渡航不可の状況が続き、データ収集は難航した。2022年度はフランスでの調査が実現し、これまでに計18人にインタビューを行なった。各インタビューは1時間から1時間半にわたって行われ、現時点において録音データの日本語部分の書き起こしは完了している。回答の中には日仏両言語間のコードスウィッチングやフランス語表現への言及があり、フランス語の箇所については別途書き起こしを行なっている。
回答者のプロフィールは様々であり、渡仏時の年齢、在仏年数、フランス語の学習環境、職場での使用言語(フランス・日本語・英語)といった要因を軸にデータを分析している。これまで主にターン・テイキングとethos communicatifについて分析と考察を進めてきた。インタビューした日本人ほぼ全員がフランスの職場でのターン・テイキングの難しさを指摘しており、回答のなかにemotionに関連する表現が多くみられることに注目した。大人になってから渡仏した回答者については自分の日本的なethos communicatifに対して受容あるいは諦めを示す発言が多いのに対して、子供時代にフランスに渡り、教育もフランスで受けた回答者からは日仏両方のethos communicatifのはざまで葛藤する言葉が度々聞かれた。これらの分析結果を外国語教育の学術誌およびフランス語教授法研究会などで発表した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

上記の「研究実績の概要」で述べた通り、本研究は日本語とフランス語のバイリンガル話者の異文化間語用論能力を調査することを目的としているが、フランスでの滞在経験が長く、就業経験もある日本人はフランス在住のことが多く、当初よりフランスでのインタビューを計画していた。しかし、コロナ感染拡大のため海外渡航不可の状況が続き、データ収集は大きく遅れた。2021年度はオンラインでのインタビューを試みたが、やはり対面と比べて数々の難しさが感じられた。
インタビュー内容は分析途中ではあるが、回答には上記のターン・テイキングやethos communicatif以外に、要求、依頼、謝罪、反論といった様々な言語行為に関する指摘が含まれており、いずれの行為についてもフランスの職場環境では説明を尽くすことの重要性が浮き彫りになっている。また、相手がフランス人か日本人かによってどのように言語行動を変え、どのようなストラテジーを使用しているかについても興味深いコメントも得ている。

Strategy for Future Research Activity

これまでに得たデータの精査と考察を進める。インタビューの回答を、社会文化的な環境などの外的な要因という観点からだけでなく、ethos communicatifという個人的で内的な現象としても捉え、両面からの分析を進める。また、本研究の目的の一つでもある日本人フランス語学習者の語用論教育に研究結果をどのように還元できるかについても引き続き焦点を当てていく。
インタビュー対象者に確認や補足の質問を行なう必要があり、2023年度もフランスで調査を引き続き行なう予定である。

Causes of Carryover

2022年度はフランスでのインタビュー調査を再開できたが、2020年度・2021年度はコロナ感染拡大のため海外渡航不可の状況が続いたため、旅費および謝金の支出がなかったのが主な理由である。次年度もフランスでの調査実施のために生じる旅費、インタビューの書き起こしによる支出が見込まれる。

  • Research Products

    (2 results)

All 2023 2022

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] 「日仏コミュニケーションと語用論的能力」2023

    • Author(s)
      原田早苗
    • Journal Title

      『地域研究のすすめ フランス語圏編2023』上智大学外国語学部シリーズ

      Volume: 2023 Pages: 34-43

  • [Journal Article] Gestion des tours de parole et ethos communicatif de Japonaises en milieu professionnel francais (Turn-taking management and communicative ethos of Japanese women in a French workplace)2022

    • Author(s)
      Sanae HARADA
    • Journal Title

      Etudes en Didactique des Langues

      Volume: 38 Pages: 42-56

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2023-12-25  

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