2022 Fiscal Year Research-status Report
Exploring teacher-learner utterances in EFL classroom: a case of early English education in Japan
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19K00858
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
居村 啓子 拓殖大学, 外国語学部, 教授 (90649211)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 小学校外国語教育 / 児童の発話 / 教師の発話 / 定型表現 / タスク / 用法基盤モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本の小学生が外国語活動に於いて、英語でどの程度自由度のある発話を行うかを検証した。児童の発話と教師の発話、授業内容を分類しそれぞれの関連を見た。 まず児童の発話を「1語」「定型表現」「定型表現よりの分解」「より自由度のある表現」に分類した。また教師の発話をCOLT(Communicative Orientation of Language Teaching Observation Scheme)を参考にした独自の基準に基づいてコーディングを行った。結果より自由度のある児童の発話は、教師が授業で内容について説明をしたり、指示を行ったり、質問を投げかけたり、内容を広げたりすることに起因することが示唆された。さらに授業内容を「ルーティン」「説明」「ドリル」「練習」「タスク」に分け、児童の自発的発話との関連を見た結果「説明」と「タスク」に於いて自発的な発話が多く見られた。また言語そのものを学ぶ活動より、CLILなどの言語を使って内容を学ぶ活動を通して、定型表現の分解という形で起こることが示唆された。 これまでの分析では、児童の自由度のある発話を、英語のインプット量、教師の発話、授業内容との関連で見てきたが、当該年度はさらに、教室でのインタラクションの質を見るために、COLTを使用し分析を行った。今回の分析対象となるデータは、市立I小学校の2017年の7回分の授業と、2021年の7回分の授業で、新学習指導要領に基づいて導入された教科としての「外国語」の導入以前と以後で、教室内のインタラクションの違いがあるかを検証した。結果見えてきたことは、児童の発話は2017年度に比べて、2021年度の方がより自由度が高くなっているが、COLTによる分析では、教室内のやり取りには有意な差が見られなかった。自由度のある発話を促す要因は、やはり授業内タスクであることが推測される結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度はこれまでの分析成果を総括し、小学校外国語活動に於ける、より自由度のある児童の発話の要因を、教師の発話の質、授業内容、教室内インタラクションの3方向から総括的に検証し、それぞれの分析結果から、要因となるものをさらに特定していく。今回検証を行った、小学校外国語教科化以前と以後との比較に於いて、教師の発話の質やインタラクションには変化は見られないものの、児童の発話の自由度は高まっていることが判明した。では何が要因になっているか、という点を再検証するために、2017年と2021年、それぞれの授業内容をより正確に分析していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの分析を通して、授業のタスクが、子どもの自由度のある発話を促す要因の一つとなっていることがある程度わかってきたが、「外国語」の教科化を背景として、「言語活動」が小学校の外国語の授業により多く取り入れられるようになったことが要因の一つとも考えられる。今後さらに、タスクと言語活動との関連を探りながら、「言語活動「タスク」との関連を検証していきたい。また本研究が対象としたのは、同じ教員による複数回の授業を数年かけて分析したものだが、結果として見えてきたことは、日本の小学校外国語の授業に於いて、児童の発話の自由度はまだ限られた範囲でしか見られないということである。今後の課題としては、さらに分析対象を広げて、複数の学校の「外国語」の授業を横断的に分析し、児童の授業内の発話の実態を明らかにしていきたい。
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Causes of Carryover |
最終年度は研究協力者と国際学会にて、これまでの研究成果を共同発表してく為、旅費が発生する。またデータ分析費用としての人件費、追加のデータ書き起こし費用などが発生する。その他、図書、機器備品の購入を予定している。
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Research Products
(1 results)