2020 Fiscal Year Research-status Report
アカデミックライティングに関する指導研究:参考文献の引用について
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19K00880
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大年 順子 岡山大学, 全学教育・学生支援機構, 教授 (10411266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 潤美 岡山大学, 全学教育・学生支援機構, 講師 (90711622)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アカデミックライティング / 参考文献の引用 / アカデミックリテラシー / argumentative writing / knowledge transforming / writer stance / summarizing / paraphrasing |
Outline of Annual Research Achievements |
1年次生のアカデミックライティング授業の総括として課されるargumentative essays(議論文)のintroductory paragraphs(序論)のレトリックに注視してクラスルームリサーチを実施した。EFLで主要に用いられる教科書では,argumentative essays のintroductory paragraphsの主な構成要素として,hook(エッセイの取り掛かり), background information(トピックの概要提示), motive(トピックの意義あるいは議論の重要性),およびthesis statement(主張)の4つが提示されている。1年次の基礎的なアカデミックライティングの授業 において最終課題として課されたargumentative essaysを分析し,これらの4つの構成要素の所在を明らかにした。その結果,参考文献を課す必要のない1年次のargumentative essays では,調査した38編のエッセイのうち,hookは13%, background informationは57%, motiveは21%, およびthesis statementは76%のエッセイにそれぞれが含まれていた。この結果から1年次のargumentative essayでは構成要素をモデルエッセイを提示しながら指導すれば,background information とthesis statement はintroductory paragraphに取り入れられやすく,その後の指導は,各要素構文の〝質"に焦点を移していけばよいと考察された。一方,motiveとhookは,通常の半期の授業内では習得が難しい構成要素であることが考察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の実践者の担当授業がすべてオンライン授業へと移行されたため,対面授業を想定したうえでのデータ収集が得られなかった。当初は1年次の基礎を構築するアカデミックライティング授業において,hookに格言を用いて序論を展開するargumentative essaysを執筆させ,データを収集する予定であったが,実際の指導はジャンル別エッセイの主要成分の説明と実践練習に終始した。 しかし,2年次生のアカデミックリーディング・ライティングの授業内で,参考文献をあげて意見を論じるargumentative essaysを23名に執筆させ,承諾を得てコーパス分析を行うことができた。その結果,文頭の"According to" の使用がWang & Zhang (2021)が指摘しているように多く認められ,初級EFLの学習者は文献をacknowledgementとして取り入れることが最も一般的であると考察された。 このように1年次でのライティングデータの収集は予定通りにいかなかったが,2年次のリサーチペーパーの基礎を習得する対象クラスではデータが収集され,これまでの先行研究との比較データとして用いられることとなったので,「おおむね順調に進展している」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
Petric(2007) によれば,writer stance は4つあり①acknowledgement (事実やデータ等の提示),②distance (焦点が異なる研究への言及),③endorsement (理論や前提条件などの承認),および④contest (対立意見の展開)が列挙されている。Lee, Hitchcock, and Casal (2018)は,このうちacknowledgement にあたるattribution (自分の主張が,先行研究で提示された論点と整合性を持っており,支持されていると示すこと)が,英語第2学習者が執筆したリサーチペーパーの大部分にあたる報告している。この点を2年次生のアカデミックリーディング・ライティング授業の中で得られたデータからコーパス分析を行い検証する。また,③endorsement (理論や前提条件などの承認),および,④contest (対立意見の展開)の練習課題として,GREテストのverbal reasoning practiceを対象学生に課し,参考文献の中で多様なwriter stance を行使するライティング練習につなげていく。
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Causes of Carryover |
学会発表ができなかったため。
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Research Products
(2 results)