2020 Fiscal Year Research-status Report
パラ言語情報を示す発話の第二言語習得ードイツ語心態詞の音声の発話と知覚
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19K00893
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
生駒 美喜 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (90350404)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | パラ言語情報 / 音声特徴 / ドイツ語 / 心態詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ドイツ語学習者によるパラ言語情報を含む文の発話と知覚に母語話者と共通する特徴、異なる特徴がみられるか明らかにすることを目的としている。 2020年度前半は、前年度に実施したドイツ語学習者・母語話者・非学習者によるドイツ語心態詞schon を含む文の知覚実験データ、およびドイツ語学習者・母語話者による発話実験データの分析を行った。知覚実験の結果、ドイツ語の「確信」「留保付肯定」の意図を示す発話の知覚に関し、母語話者の正答率が学習者と非学習者よりも有意に高く、学習者と非学習者の間に知覚の差が見られなかった。「反論」の意図の発話ではドイツ語母語話者と学習者で正答率に差が見られず、ドイツ語非学習者と母語話者・学習者との間で正答率に有意差が見られた。心態詞schon を含む文の音声特徴に関しては、発話全体の持続時間、アクセント音節のピッチ、母音の音質において、ドイツ語母語話者と学習者で共通の特徴が見られたが、「反論」の発話のピッチとインテンシティにおいて異なる特徴が見られた。以上から、「反論」のパラ言語情報にはドイツ語固有の音声特徴が含まれるが、ドイツ語学習により習得できる可能性が示唆される。以上の研究成果は2020年5月末に開催された国際会議Speech Prosodyにてオンライン発表を行った。 2020年10月に、前年度に知覚実験に参加したドイツ語学習者のうち4名を対象として知覚実験を実施した。前年度の知覚実験の結果と比較の結果、「確信」の意図を示す発話の知覚は正答率が前年と比較して有意に高いが、その他の発話意図については2019年と2020年の知覚実験の結果に有意差が見られなかった。以上の結果について、早稲田大学現代政治経済研究所特別研究部会「社会行動と言語選択」にて研究発表を行った。なお、新型コロナ感染拡大のため、発話実験は2020年度中に実施することが出来なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染拡大の影響により、大学における対面での発話実験・知覚実験の実施をすることが出来なかった。このため、本来2020年度に計画をしていた、2019年度の発話・知覚実験に参加したドイツ語学習者たちを対象とした発話実験、知覚実験を行うことができず、一部Zoomを用いてオンラインで知覚実験を実施するのみとなってしまった。発話実験、知覚実験は2021年度に対面で行う予定で準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の後半には、対面での発話実験、知覚実験を開始できるように準備を進めている。さらに、2022年3月より、在外研究期間に入るため、ドイツにて、母語話者の被験者を対象とした発話・知覚実験を実施し、また2019年度に実験に参加した人のうちドイツに交換留学に出る学習者を対象として発話実験・知覚実験を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染拡大のため、データ収集のためのドイツ出張を実施することが出来なかったため、上記金額の助成金が生じた。次年度は、主として発話実験・知覚実験実施、国際会議での成果発表のための海外出張経費、および被験者への謝金、分析補助への謝金、録音機器類(マイク、ヘッドホン)に使用する計画である。
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Research Products
(3 results)