2021 Fiscal Year Research-status Report
日・中・韓三言語の連携による〈学習者が社会とつながる〉言語教育実践ガイドの開発
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19K00917
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Research Institution | Miyagi Gakuin Women's University |
Principal Investigator |
澤邉 裕子 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (40453352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 正臣 城西国際大学, 国際人文学部, 准教授 (30796280)
植村 麻紀子 神田外語大学, 外国語学部, 准教授 (70512383)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 社会 / 協働 / つながり / 連携 / 絵本 / プロジェクト / オンライン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は日本語、中国語、韓国語の学校教育現場が連携し〈学習者が社会とつながる〉教育実践を行ない、参加者の学びを分析し事例を蓄積すること、さらにそれらの事例をもとに『〈学習者が社会とつながる〉言語教育実践ガイド』を開発することである。3年目にあたる2021年度には〈学習者が社会とつながる〉教育実践として、日本国内の3大学(宮城学院女子大学、城西国際大学、神田外語大学)、海外の2大学(世明大学、北京理工大学珠海学院)の5大学が連携して行う絵本プロジェクトを行い、学生たちが協働プロジェクトを通して社会とつながる教育実践事例を蓄積した。プロジェクトには日本語専攻、韓国語専攻、中国語専攻、日本語教育専攻などの学生たち合計52名が参加した。出版社から許可を得た5冊の絵本を専攻する言語へと翻訳し、さらに、やさしい日本語版へとリライトを行ったうえで、それぞれの言語でオンラインの読み聞かせ会を企画し、2021年11月から12月にかけて全7回シリーズで開催した。学生たちは8つのグループに分かれ、複数の大学の学生が協働で読み聞かせ会のプログラム作りと当日の会の運営を行った。2021年12月と2022年2月に5大学の教師(5名)による振り返りセッションを行い、各教師がどのような役割を果たしたかについてpadletを用いてコメントを出し、さらにKJ法を用いてカテゴリー化していった。その結果、「趣旨・意義の説明」「学外・学内広報」「読み聞かせ会に関する事前指導」「学生との振り返り」「進捗状況の確認と共有」「グループワークのサポート」「学外の人、モノ、コトとの連携」という教師の役割があったことが明らかとなった。さらに、このような役割は単独でというよりも、教師たちが随時情報を交換しながら協働的に果たしていたことも確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本語、韓国語、中国語、日本語教育を専攻する国内外の学生たちが連携し、協働で社会とつながるプロジェクトをオンラインで実施することができた。当初の計画では、2021年度中に、「学習者が社会とつながる言語教育実践」をテーマとする教師・学習支援者向けのワークショップをハイフレックスで開催する予定であったが、やや遅れて、2022年4月24日に「学習者が社会とつながる言語教育実践」の一つの事例である絵本プロジェクトをもとに韓国日語教育学会においてワークショップを実施することができた。そのため、概ね計画通りに進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
日中韓5大学が連携した絵本プロジェクトに関しては、様々な観点から分析、考察が可能である。例えば、「越境」「協働」「継承言語教育」「仲介活動」「日本語教員養成」などである。今後は、プロジェクトに参加した学生たちに対して行ったアンケート調査と聞き取り調査のデータを分析し、学生たちの学びについて明らかにしていく計画である。さらに、絵本プロジェクトは現在、参加した学生たちの有志による自発的な社会参加の活動に発展しているため、その活動での学生たちの学びについても追跡調査をしていく。2022年9月には、「学習者が社会とつながる言語教育実践」としての絵本プロジェクトについて、公開型の研究会(ハイフレックス)を開催し、成果を発表する。その発表をさらに発展させ、絵本プロジェクトに焦点を置いた言語教育実践ガイドの執筆作業に取り組んでいく計画である。
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Causes of Carryover |
コロナ感染対策のため、県外への出張を中止したため、旅費の使用がゼロとなった。2022年度は、研究会をハイフレックスで開催予定であるため、旅費の使用も見込まれている。
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