2019 Fiscal Year Research-status Report
異文化コミュニケーション能力向上に寄与する要素抽出・モデルの構築と授業案の提示
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19K00923
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
宗実 陽子 立教大学, ランゲージセンター, 教育講師 (30809950)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | intercultural competence / language education / conceptual model / globalization / multiculturalism |
Outline of Annual Research Achievements |
異文化コミュニケーションそのものを主軸として、それに影響を与える要素を組み込んだ異文化コミュニケーションの概念モデルは、これまで主に、著名な学者が唱える理論に基づいて構築されてきた。従って、現場の大学教員、大学生、実社会で異文化の人達と仕事に携わる人達の視点を多角的に取り入れたモデルは、未だ提示されていない。本研究では、三者の観点を統合したモデルを考案することにより、効果的な異文化コミュニケーション教育の在り方を探究する。研究初年度である当該年度は、ほぼ計画通リに研究を進める事ができた。学生・大学外国語教員・そして実社会で異文化の人達と仕事を進めている人達を対象としたアンケートを作成・パイロットの後、アンケートを実施した。パイロット研究の結果を踏まえ、三者の異文化コミュニケーションに関する心理・意識をより深く探究する為、アンケートに加筆・質問を追加した。現在、アンケートを集計・予備分析を進めている。予備分析により明らかになった、学生・教員・実社会の人達の、異文化コミュニケーションに関する見解の主要なポイントは次の通リである。1)学生・教員・実社会の人達の異文化コミュニケーションについての見解の共通点としては、「異なる文化や価値観への尊重、共感力や柔軟性が大切である事」への言及の多かった事。2)学生が学びたいと思っている事には具体的な事項(知識に関する事項、コミュニケーションに関する事項)が多く、教員の見解には、教えるべき事として、異文化への寛容さ等の態度への言及が多かった。3)又、文化の側面を外国語教育に統合していく事については、カリキュラムとの兼ね合いによる難しさも浮き彫りとなった。4)実社会の人達からは、異文化の人達とコミュニケーションを取りながら仕事を進めるにあたって、「交渉力や論理的思考の重要性」についてのコメントを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究は、ほぼ計画通リに進み、進捗状況は概ね順調と言える。 パイロット研究の後順次、学生・教員・そして実社会で異文化の人達と仕事に携わる人を対象にアンケート及びインタビューを実施し、初年度の目標である「三者の観点の共通点と相違点の検証」を進める事ができた。只、コロナウイルス感染拡大の影響で1~2月以降、当初予定していた通常の半構造的インタビューを計画通リに進める事が困難となった。現在も、コロナウイルスの影響下、通常のインタビューやフォーカスグループインタビューの実施が難しい状況が続いており、今後追加インタビューを実施する際、電話インタビューやオンライン・インタビュー(Skype、Zoom、等)の実施となる見込みである。其の為、いかに通常の半構造的インタビューに匹敵する効果を得るかが、工夫を要する課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的をより効果的に達成する為、今後さらに、学生、教員、実社会の人々の異文化コミュニケーションに関する心理・意識を、総合的かつ統合的に検証し、異文化コミュニケーション能力開発の為のモデルを提示する事を目指す。又、特に、学生、教員の異文化コミュニケーションに関する心理・認識をより深く探究する為、アンケート最終版の結果に基づいて量的分析も行う予定である。中間報告として、本年7月チェコ共和国プラハにての国際会議: The 32nd International Congress of Psychology 2020: Psychology in the 21st Century: Open Minds, Societies, and the World において発表予定であったが、コロナウイルス感染拡大の為 2021年に延期される事が決まった。多くの国際会議がキャンセルとなる中、今後もしばらく学会における実績発表が遅れる事が懸念事項である。当面随時、書き起こし作業、質的分析、量的分析を行い、論文の執筆も進めるべく努力をしていく予定である。(2020年3月米国Georgetown University Round Table 2020: Multilingualism Global North Global South Perspectives にて発表予定であったが、キャンセルとなりVirtual Group にて発表。 2020年8月オランダにてWorld Congress of Applied Linguistics 2020において発表予定であったが2021年に延期と決定した。)
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Causes of Carryover |
2020年3月に米国Washington D.C. Georgetown University Round Table: Multilingualism Global North Global South Perspectives にて発表予定であったが、コロナウイルスの感染拡大により学会が中止となった為。 2020年度の使用計画としては、既に購入したSPSS Softwareでは MANOVA等の分析ができない事が判明した為 SPSS Advanced Statistics version26 の購入、インタビューデータ書き起こし一部外注、書籍の購入等である。 今年度の6月、カナダにてPsychology of Language Learning Conference、7月にはチェコ共和国にてThe 32nd International Congress of Psychology 2020: Psychology in the 21st Century: Open Minds, Societies, and the World、8月にはオランダにてWorld Congress of Applied Linguistics 2020において発表予定であったがコロナウイルスの感染拡大によりいずれも2021年に延期と決定した。よって、2021年度には海外での学会で発表予定である。
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