2021 Fiscal Year Research-status Report
社会主義人口論と家族計画運動をめぐる世界史:1974年の世界人口会議を中心に
Project/Area Number |
19K00941
|
Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
中地 美枝 北星学園大学, 文学部, 教授 (90567067)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ソ連 / 人口 / 世界人口会議 / 家族計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度もコロナ禍が続き、海外はもちろんのこと、国内における資料収集も実現しなかった。そのため、所属する大学や近隣の大学の図書館で、刊行資料の収集を続けた。その中で、これまでの研究では利用したことのない学術誌『国際生活(Международная жизнь)』の中に、本研究に関するまとまった情報を見つけたのは、一つの成果である。刊行物から政治決定の舞台裏を知ることは出来ないものの、政治と統計の問題について、興味深い情報を得ることが出来た。
本研究では、モスクワの外交史料館で史料収集をする予定であったが、ロシアによるウクライナ侵攻後の急速な日ロ関係の悪化により、今後ロシアでのフィールドワークが難しくなるのは必至である。仮に入国出来たとしても、もともと外国人研究者には厳しいと言われている外交史料館で、有益な史料へのアクセスを得られる可能性は絶望的だ。この状況はしばらく続くと考えられるため、本研究の方法を、アルヒーフの史料収集を軸としたものから、刊行されているソ連の統計家の著作の分析へシフトせざるを得ない。特に注目している統計家はV. N. スタロフスキーやD. I. ヴァレンテイ、B. Ts.ウルラニスで、今年度は彼らの著作の収集を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、もともとマルチアーカイブの手法を用いる計画で、ロシア、アメリカ、ヨーロッパで史料収集をする予定であった。しかしコロナ禍のため、研究開始の2年目から3年目にかけて全く渡航が出来ず、当初の計画に沿った研究はほとんど出来ていない。さらに、ロシアによるウクライナ侵攻がもたらす研究環境への影響も考慮しなければならなくなったため、二次資料の分析を中心とした研究へとシフトを遂に決断した。大幅な遅れは否めないが、厳しい条件の中で、出来る限りのことをしている、という状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度と2021年度は、コロナ禍で史料収集のための渡航が全く出来なかった。2022年度には何とか渡航したいと考えているが、戦争やロシアの政治状況を鑑みると、今後近い将来に、ロシアで史料収集が出来る望みはほぼなくなった。そのため、ロシアでのリサーチは諦め、ソ連の統計家に関する資料が豊富に揃うアメリカの研究機関で、リサーチを行いたい。また年度の終わりには本研究の延長を申請し、2023年度にもヨーロッパかアメリカでリサーチを続け、成果を論文にまとめたい。最終的には論文を国際的な学術誌に投稿する予定である。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍が続き、予定していた国内外における史料収集が不可能となったため。
|
Research Products
(4 results)