2019 Fiscal Year Research-status Report
East-West Comparative Studies of Popular Print as New Cultural History
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19K00942
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
原 聖 青山学院大学, 文学部, 客員教授 (20180995)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 民衆版画 / 東西比較 / 文化史 / 民画 / 年画 / エピナル版画 / 大津絵 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年5月11日、国際ファッション専門職大学(新宿)にて、研究代表者と研究協力者(坂内徳明、丹羽朋子、久野俊彦)による打ち合わせ会を行い、この科研の趣旨を確認し、今年度の研究計画を立てた。 7月7日、青山学院大学総合研究所会議室(渋谷)にて、第1回民画東西比較研究会を開催し、代表者である原聖の報告(民画東西比較研究のめざすもの)、久野俊彦の報告(日本の民画、範囲と課題)を行った。原の報告は欧州の研究の現状を概観するものであり、久野の報告は日本の研究を概観するものであった。 11月16日、龍谷大学大谷学舎(京都)にて、第2回民画東西比較研究会を開催し、研究協力者の坂内徳明(ロシア民衆版画(ルボーク)の世界)、中尾徳仁(天理参考館の中国民間版画資料について)の報告を行った。それぞれ個別分野の詳細を知る上で有益な報告であった。同時に、研究代表者と協力者(坂内、久野、三山ほか)によって、国内の博物館の調査を行った。11月15日には、海の見える杜美術館(広島)にて、同館所蔵の中国年画の資料を見学した。16日午前には、高麗美術館(京都)にて、朝鮮民画の資料を見学した。17日には大津市歴史博物館(滋賀県)にて大津絵を見学し、天理大学付属天理参考館にて中国年画を見学した。 2020年1月17日から20日にかけて、研究代表者と協力者(久野、三山)により、台湾で年画調査を行った。17日には台北郊外の街頭で年画調査を行った。18日には、宜蘭の蘭陽博物館にて、同館所蔵の民間版画を見学した。19日には台中の国立美術館にて新年画展を見学した。20日には台南市内の年画について調査を行い、帰国した。蘭陽博物館の図録は台湾の民衆画の全貌を明らかにするものであり、大変有益であった。 3月17日に青山学院大学にて第3回民画東西比較研究会を予定したが、新型コロナウィルスの蔓延により、次年度に延期となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスの蔓延により、3月に予定していた研究会が中止となったが、当初予定していた研究会のほか、広島と京都、奈良での調査、また台湾での調査が可能となり、十分な成果をうることができた。とりわけ、大津市立博物館における大津絵展は、フランスにおける展覧会をもとにしており、フランスの研究者から見た日本の民衆画の視点がもられており、たいへん参考になった。また高麗美術館での朝鮮民画展覧会も、これまであまり見ることができない民衆画が展示されており、大いに参考になった。さらに、台湾の蘭陽博物館での民衆画の調査では、現地の学芸員がたいへん協力的で、いただいた図録もまたたいへん充実した内容であり、非常に成果が上がった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年6月6日(土)に青山学院大学にて第1回民画東西比較研究会を行い、2年目の研究をスタートさせる。研究代表者の原聖(ブルターニュとベトナムの最近の研究について)、研究協力者の三山陵(中国の民画について)、久野俊彦(日本の民画再考)が報告する。9月に第2回研究会を行い、10月末から11月初めにフランスの研究者を招聘して(別団体の資金による)、日仏民画比較シンポジウムを開催する。元日仏会館館長クリストフ・マルケ氏ほか1名の招聘者を予定している。2021年2月には第3回研究会を開催し、最終年度である次年度への橋渡しを行う。最終年度は総括シンポジウムを開催して、研究の仕上げを行う予定である(2021年11月頃を予定)。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの蔓延により、2020年3月開催予定の研究会が2020年度に延期となったため、そこで報告予定の研究協力者への謝金が執行されなかったが、2020年度の研究会で執行予定である。
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Research Products
(5 results)