2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating the material foundation of the knowledge revolution in the West: Analysis of paper of European books during the 16th-18th century
Project/Area Number |
19K00948
|
Research Institution | The Toyo Bunko |
Principal Investigator |
徐 小潔 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (20537865)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江南 和幸 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (70029106)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 紙質の科学的分析 / 西洋典籍 / 非破壊調査 / ヨーロッパ出版史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、 二つの方向で研究計画を遂行し、国際シンポジウムなどで報告を行った。 一つは西洋典籍の調査・分析である。17世紀にヨーロッパ各地で出版された西洋古典-メンデス・ピントの『遍歴記』を中心に紙質の非破壊調査・分析を行った。その結果、ポルトガル、オランダ、ドイツで出版された書籍に使われていた印刷紙は藁が主な原料であったのに対し、イギリス、フランス、イタリア、スペインで出版されたものは主にリネンを原料とする紙が用いられていたことが判明した。今後はヨーロッパの出版文化の転換期である17世紀に出版された印刷書籍に使用された紙のさらなる分析を通して、このような違いが生じた原因を解明していく必要がある。上記内容は「A Scientific Analysis of Paper in the Toyo Bunko Collection: Exploring New Research Methods for Oriental Studies」という題で、国際シンポジウム「Books as Texts and as Objects: The Production, Circulation, and Collection of Knowledge in Asia and Europe」(Harvard-Yenching Institute and Toyo Bunko, January 18-19, 2020)で報告した。 もう一つは和紙を中心に、研究分担者江南和幸氏が「源氏物語、伝統と未来 国文学科公開講座講演会」(実践女子大学、2019年12月14日)において、「紙は時代の目撃者」を報告した。古典籍の紙質調査の重要性や意義を述べたうえで、和紙とヨーロッパの関係、また紫式部が記述した「紙」について報告した。その内容は、『実践女子大学文芸資料研究所年報』(第39号)に掲載されている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の研究計画に記載している東洋文庫所蔵のヨーロッパ各地で出版された16~18世紀の西洋古典籍の紙質調査及び分析は概ね予定通りに進行している。中国の明、清刊本を中心とするアジア地域の主要紙の調査も行ったが、ヨーロッパ刊本の調査結果と比較した結果、ヨーロッパ刊本に使われていた植物を原料とした紙の製造地域がまだ推定できていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、西洋古典籍に使われた紙質の調査・分析を行う。これまで進めてきた江戸時代の紙の調査も引き続き行い、さらに中国明、清刊本の調査も加えるようにする。ただし、予定していたオランダ国立公文書館、ロンドンの英国図書館での資料収集は、新型コロナウイルスの流行状況によって判断せざるをえなくなっている。
|
Causes of Carryover |
2020年1月末から、新型コロナウイルス感染症の世界的規模の流行による海外渡航禁止、図書館・資料館閉鎖などが原因で、年度末に予定していた資料調査を実行できなかった。まだ、同様の理由で物品の調達も遅れが生じた。
|
Research Products
(3 results)