2023 Fiscal Year Annual Research Report
朝鮮出兵における諸大名の戦う動機に関する研究:大名たちは「なぜ戦ったか」
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19K00953
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
津野 倫明 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 教授 (60335916)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 朝鮮出兵 / 諸大名 / 戦う動機 / 流用型恩賞 / 復権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、朝鮮出兵(文禄・慶長の役)における実戦の指揮官たる諸大名の戦う動機の解明である。目的達成のために、A〈積極的な動機に関する史料〉・B〈受動的な動機に関する史料〉を収集・分析し、大名たちが「なぜ戦ったか」を考察してきた。3年目にあたる2021年度はA・B3年間の成果を総括する予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により史料調査の実施は1回にとどまり、4年目にあたる2022年度の8月になって総括的な研究「朝鮮出兵における諸大名の戦う動機」(『海南史学』第60号、2022年)を発表した。ただし、その後の史料調査により、積極的な動機の1つである復権(本領回復とほぼ同義)に該当する宇都宮国綱の行動が確認された。そこで補助事業期間を5年目にあたる2023年度まで延長し、宇都宮国綱の慶長の役と帰国後における復権にかけた行動を明らかにする研究「関ヶ原合戦時の宇都宮国綱」を発表できた。なお、本務多忙により時期は遅れたが、「椙杜文書」などの史料調査を実施し、慶長の役における毛利勢の「組」編成の前提となる小田原攻めにおける軍事行動に関する知見がえられた。その軍事行動に関する学術論文の執筆を進めている。 1.史料収集:(1)1月30日、東京大学史料編纂所において「椙杜文書」などの史料調査を実施した。 2.史料分析:前年度までの史料収集もふまえ、諸大名の積極的な動機、具体的には「復権」に関する史料の分析を進め、次項「3.研究発表」(1)にあげた研究を発表した。(2)前記「1.史料収集」の(1)により大名家臣の水軍としての活動に関する史料を収集し、分析している。 3.研究発表:(1)朝鮮出兵における積極的な動機に該当する復権(ここではまさに本領回復)を論じる「関ヶ原合戦時の宇都宮国綱」を発表した。
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