2022 Fiscal Year Research-status Report
比較史的考察からみた中世西国の地域権力の特質と外交活動
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19K00954
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 幸司 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (30364128)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 土岐氏 / 室町幕府 / 細川氏 / 伝統的外交慣習 / 伝統的対外観 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、前年度に西国日本の地域権力の外交のありようを相対化するために、畿内以東の地域権力とアジアとの関わり方について、美濃土岐氏と朝鮮との関わり方を事例として、九州大学韓国研究センター主催シンポジウム「中世の日韓交流と対馬海峡沿岸社会」(於・オンライン会議室)において報告したものを活字化し、「美濃土岐氏による大蔵経請来と朝鮮―西日本以外の地域権力と朝鮮―」(森平雅彦・辻野裕紀・波潟剛・元兼正浩編『日韓の交流と共生―多様性の過去・現在・未来―』九州大学出版会、2022年8月)として公表した。 さらに、室町幕府及び幕府周辺の有力大名とアジアとの関わり方について、考察を深めた。具体的には、室町幕府の明・朝鮮・琉球・南蛮との関わり方を比較検討するのと同時に、幕府周辺の有力大名による明・朝鮮・琉球との関わり方を検討した。その結果、室町幕府の異国通交には、従来、主張されているように伝統的な外交慣習(中国とは対等・朝鮮は下位)や対外観(朝鮮蔑視観)が大きく影響していることを再確認した。そのため、幕府は伝統的な外交慣習や対外観に抵触しないように配慮し、仏教という要素をもちいることでその緩衝材としたことなどを指摘した。一方、幕府周辺の有力大名でも、例えば細川氏は日明貿易には執心する一方、朝鮮には無関心であり、琉球とは関わりを持つものの、大内氏のように直接通交をすることはなかったことをあきらかにした。こうした室町幕府及び幕府周辺の有力大名による異国通交の特質を、大内氏に代表される西国の地域権力による異国通交のあり方と比較検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍ということもあり、十分な史料調査などができなかったことが「やや遅れている」ことの直接的な原因である。しかし、一方で関係史料の収集には目途が立っている。ゆえに、本研究の集大成をまとめるためにも、当初予定していた研究期間を1年延長することで、本研究のまとめとなる活動をしていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の集大成として、「慶弔外交」からみた西国の地域権力と室町幕府にかかる考察を活字化し、学術雑誌に公表することを目標とする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、全体的な研究活動が停滞したため、旅費の執行などが計画通りにできなかったことが主要な要因である。しかし、2023年度はこうした懸念も低下した。本研究は、当初計画から研究期間を1年間延長したことで、当初の計画を達成することができると考えている。 2023年度は、コロナ禍で控えていた史料調査及び、本研究課題達成のための集大成として位置づける論文を執筆し、学術雑誌に投稿することを最終目標とする。
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Research Products
(1 results)