2023 Fiscal Year Annual Research Report
戦乱から平和・安定への転換に関する比較地域史研究―九州を中心に
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19K00955
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
木村 直樹 長崎大学, 多文化社会学部, 教授 (40323662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧原 成征 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (20375520)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 平和 / キリシタン / 倭寇的状況 / 伝統化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研の最終年度においては、研究成果として、17世紀の日本社会における平和の時代の到来が、前世紀の倭寇が跋扈するようなアジアの状況から、どのように江戸幕府は新たな体制を築こうとしたのかを、研究代表者や分担者が参加した論集の中で示すことができた。また、17世紀を研究する若手研究者との研究会も実施し、今後の研究の在り方を視野に意見交換を行った。 その中で、九州を主たる舞台とする西日本でキリスト教と対峙し、また貿易システムを幕府にとって既存の中世までの状況を再編しながら掌握していったのかを明らかにした。 また、それらの体制を構築する上で、すぐれて内政の問題と連動し、幕府による貿易体制の掌握とキリスト教禁制は、17世紀の後半になると一度できあがったものが、その意味を再び変容させていく萌芽がでてきたことも指摘することができた。 5年間の本研究において、戦国期末から近世初期にかけて、あらたな社会体制ができあがり、幕藩体制として確立する過程を追究してきた。 その中で、いわゆる近世社会の特質と戦後歴史学において定義されてきた兵農分離・太閤検地・鎖国という諸要素をもう一度検討することが本科研の基本的なスタンスであった。 特に、代表者はいわゆる鎖国は内政の延長上としてとらえ、内政面でのキリシタン禁制政策、沿岸警備、港湾都市長崎の変容を明かにした。一方、研究分担者は単著を上梓し、戦国期末から近世初期にかけて、あらたな社会体制ができあがり、幕藩体制として確立する過程を追究し、村落社会の変容と、新たに創出される都市のありよう、さらには身分の問題を論じ、兵農分離や土地支配の理解に新たな視点を与えた。
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