2023 Fiscal Year Research-status Report
近世・近代における琵琶湖のヨシ、およびヨシ地の史的研究
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19K00957
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
東 幸代 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (10315921)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヨシ / ヨシ地 / 内湖 / 琵琶湖 / 史料目録 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間5年目にあたる本年度は、2023年4月22日、同5月21日、同6月17日、同9月16日、同10月15日、同11月18日、同12月16日、2024年1月20日、同2月18日、同3月16日の計10回にわたってヨシ(葭)問屋・西川嘉右衛門家(滋賀県近江八幡市)を訪問し、現地で文書蔵の中の古文書調査をおこなった。COVID-19禍後、久方ぶりに県内博物館の学芸員有志の協力が得られるなど、調査参加者の数は前年度に比して増加した。 調査によって現地で作成した古文書調査カードの情報は、滋賀県立大学生がマイクロソフト・Excelに入力し、古文書目録を作成した。参加者の増加に比例して、入力件数を前年度比増とすることができた。 本年度は、先年より従事してきた大正期の大量のヨシ取引関係ハガキの調査が一段落し、その後の調査対象の中心を、明治・大正・昭和期のヨシ取引にかかる書付類に移すことができた。これらの史料、および過去4年間に及ぶ取引関係史料の情報の蓄積をもとに、これまでは居住地や職種を解明し切れなかった取引先人物の属性等を明らかにすることができた。その結果、未解明であった西川家の単一年度の取引の全貌に迫ることができた。流通面での大きな研究成果といえよう。 また、生産面に関しては、近世におけるヨシ地の多面的な利用にかかる史料の分析をおこない、水辺という場のもつ近世的価値について検討した。その成果を、文化的景観を統一テーマとするシンポジウムにおいて報告し、活字化することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的の一つは、調査を通した古文書目録の作成である。本年度に限れば、調査参加人数が回復したことにより、進捗状況が好転した。しかし、前々年度までのCOVID-19の影響による調査効率の低下は、古文書目録作成の遅滞を招いており、本年度もそれを挽回することが難しかった。また、目標としていた年12回の調査が実施できなかった。そのため、評価を(3)とした
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、年間予定12回の調査を進めるとともに、成果としての古文書目録をとりまとめる計画である。
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Causes of Carryover |
COVID-19禍の数年間においては、古文書調査への参加人数が少ないことに起因して入力対象の古文書調査カードが少なかった。そのため、入力用の人件費の一部を繰り越してきた。本年度は、この繰越金の全額利用を計画したが、予定した年間12回の調査が実施しきれなかったことで、繰越金が生じた。 また、学会報告にともなう出張を予定していたが、主催団体のご厚意で交通費等の提供を受けることができ、旅費の執行額が少額で済んだ。 次年度は、月に最低一度のペースで現地における古文書調査をおこない、学部生に古文書調査カードのデータ・ベース化を進めてもらう。次年度使用額の多くを、データ入力を中心とする人件費として使用する計画である。また、資料保存機関への調査出張を数回おこないたい。
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