2020 Fiscal Year Research-status Report
東北・北関東の農兵隊・草莽隊と戊辰戦争の実態的研究
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19K00959
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Research Institution | Miyagi Gakuin Women's University |
Principal Investigator |
平川 新 宮城学院女子大学, 付置研究所, 研究員 (90142900)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 剣術 / 農兵 / 剣術奉納額 / 道場 |
Outline of Annual Research Achievements |
■本年度は山形県の農兵頭を務めた旧家や剣術道場を開いていた旧家の調査、および剣術額が奉納されている寺社の調査、および剣術・農兵関係の古文書の調査と解読を行った。 ○2020年6月調査:山形県中山町歴史民俗資料館、同町旧柏倉家、山辺町稲村家・多田家、川西町牛谷家。○2020年8月調査:山形県天童市若松観音堂、寒河江市八幡神社・洞興寺、川西町八幡神社、高畠町安久津八幡宮・亀岡文殊堂、米沢市成島八幡神社・笹野観音堂。○2020年10月調査:寒河江市八幡神社、大江町巨海院、白鷹町剣先不動堂。○古文書の解読:高畠町武田家文書、富谷市内ヶ崎本陣文書・佐藤家文書ほか。 ○剣術師範関係碑文の調査と解読:高畠町安久津八幡宮境内の碑文、米沢市佐氏泉公園の碑文。○剣術奉納額の調査と銘文の解読:大江町剣先神社扁額、寒河江八幡神社太刀奉納額。 ○これまでの調査研究成果として『出羽国の庶民剣士』(東北大学東北アジア研究センター叢書)を刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
幕末維新期に活躍した庶民から構成された農兵隊や草莽隊の実態解明のために、その前史となる庶民剣士と庶民道場に関する史料と史跡の調査に力を注いできた。その結果、全国的にも貴重な、庶民道場主が書き残した剣術実録を山形県で発見した。この剣術実録に記載された事項によって、出羽国の置賜郡や村山郡には多くの流派が剣術道場を開き、近在の村人たちが多数入門して剣術修行に励んでいたことが明らかになった。庶民剣士が存在したことを確認できた。また、寺社調査の結果、これまで知られていなかった剣術奉納額や師範顕彰のための石碑などを発見した。文字記録だけではなく、献額や石碑などからも剣術文化の痕跡を確認できたことは、歴史研究の方法としても大きな成果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
庶民剣士の実態調査は順調に進んでおり、幕末農兵関係の史料収集も進んでいる。今後もさらなる史料調査と関係史跡等の調査を進め、庶民が草莽の志士や農兵として幕末維新期の歴史的大変動にかかわった実態を、より克明に解明していく予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナ禍による移動制限のために、予定していた調査が十分に実施できなかったため。
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