2019 Fiscal Year Research-status Report
Comprehensive Research about Luis Frois's descriptions concerning Japan
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19K00964
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
伊川 健二 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70567859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 真 東京大学, 史料編纂所, 助教 (50634036)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ルイス・フロイス / 南蛮史料 / 天正遣欧使節 / イエズス会 / 織豊期 / ポルトガル |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の計画は、本研究に関する既存の情報の整理であり、そのため3つに大別される活動をおこなった。 第1に、国際シンポジウムの実施(共催)である。計画ではより小規模のワークショップを実施する予定であったところ、スーパーグローバル大学創成支援事業(SGU)にもとづく国際シンポジウム等開催助成の交付が確定したため、この予算を主軸として、本研究からも費用の一部を負担する形式でおこなわれた。シンポジウムの名称は「国際シンポジウム 南蛮史料研究の新地平」であり、令和2年1月11日に早稲田大学戸山キャンパス33号館3階 第1会議室にて開催され、ノヴァ大学リスボン(研究計画調書には「リスボン新大学」と記載)をはじめ、登壇者を含めて国内外から89名の参加者を得、本研究が意図する協力関係の起点としての役割として充分な機会となった。 第2に、フロイス関係書籍のデータベース化である。この作業は、大学院生1名を雇用し、研究代表者において基本となる情報を提供する形式により進められた。データベースの内容は、ルイス・フロイス書簡の刊行状況(未邦訳を含む)、原史料の架蔵状況などであり、それらの刊本の早稲田大学中央図書館における所蔵の有無などをあわせて確認した。これらの内容は、来年度にさらに調査を継続した上で、最終年度に刊行予定の報告書での公開を検討している。 第3に、東京大学史料編纂所収蔵史料に含まれる、フロイス関係の原本・写本情報の把握・調査である。同所には、日本学士院の依嘱により1954年以降に蒐集した、在外日本関係史料のマイクロフィルムが収蔵されている。そのなかから本研究に関連すると思われるものを、既刊の目録およびデータベースをもとに、ピックアップする作業を実施した。その他、本研究に関係する既刊書籍の収集にも努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
国際シンポジウムの実施は、当該領域において一定の反響があったものと思われ、当日はもとより事後にも問い合わせがあり、本研究が研究の基盤として位置付けている研究者ネットワークの構築が、当初計画していたワークショップによって見込まれた以上に進行したものと判断される。 データベースの作成作業は、おおむね順調に推移している。今年度の作業において、100件以上の現存が確認されたフロイス書簡の刊行、所蔵状況は、必ずしも全貌の把握にはいたっていない。他方で、フロイス書簡情報を、その典拠や所蔵情報とともにデータベース化する作業はこれまでにみないものである状況下において、現段階でも一定程度の形状となったことは、最終年度における公開を現実のものとするには充分な進捗であると評価できる。 東京大学史料編纂所収蔵史料の調査は、予定通りに実施することができている。これにより、同所の蒐集した範囲に限られるものの、海外諸機関の所蔵情報を把握することができた。このことは、次項に述べる、令和2年度以降に実施予定の、海外での文献調査に生かすことができると考えられる。 これらの3活動に加えて、予算については、後述する複数の事情により、当初予定していた金額の費消とはならなかったが、令和2年度の研究活動のさらなる充実のために、有効に活用していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画調書では、2年度目を「文献調査の本格化」をおこなう年と位置付け、ポルトガル、スペインなどにおける文献調査を計画していた。ところが、令和2年度初頭において、新型コロナウイルスの感染拡大により、海外渡航が困難な状況が発生し、この状況がどの段階において解消されうるかについて、また、秋以降に再燃するか、などについて予断を許さない環境が継続している。研究代表者による海外文献調査は、夏季休暇期間中を想定していたが、年度末、もしくは令和3年度における実施を検討する必要が生じる可能性がある。 初年度実施の国際シンポジウムは、令和2年度中の学術雑誌による刊行をめざし、作業を継続中である。 データベースの作成作業は、これまでの入力内容のさらなる充実をはかり、2年度目の文献調査に直接資するものとするほか、最終年度における刊行をめざす。 東京大学史料編纂所収蔵史料の調査に関しては、前項に記した通り、令和2年度以降の海外での調査に成果を活用する見込みである。ただし、前述のように新型コロナウイルスの感染が拡大している現状に鑑みて、万一海外渡航が不可能な状況が長期間にわたった場合は、代替として、必要に応じて同所所蔵のマイクロフィルムの活用も検討したい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた事情は、令和元年度当初には確定していなかった以下の諸事情により、当初の想定額を圧縮しての研究活動実施が可能となったことによる。 令和元年度に予定されていた旅費55万円(研究分担者分を含む。以下同)のうち、研究代表者分は、ワークショップにおける海外研究者招聘費用を想定していた。この費用については、以下の2点の理由により大幅な圧縮が可能となった。1)国際シンポジウム等開催助成の交付により、当科研からの支出については大幅な圧縮が可能となった。2)令和元年度に予定されていた人件費・謝金20万円のうち、研究代表者分は、ワークショップ開催およびデータベース作成における大学院生等の雇用を念頭においたものであったが、1)同様の事情によりワークショップ開催分の支出が不要となった。 以上により生じた金額を、令和2年度における海外文献調査の旅費、書籍・文献複写代に充当する予定である。ただし、「今後の研究の推進方策」欄にも記載のとおり、新型コロナウイルスにより、海外渡航が困難な状況が長期化、もしくは再燃した場合、計画を変更することがありうる。
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Research Products
(15 results)