2021 Fiscal Year Research-status Report
Comprehensive Research about Luis Frois's descriptions concerning Japan
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19K00964
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
伊川 健二 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70567859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 真 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (50634036)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ルイス・フロイス / 南蛮史料 / 天正遣欧使節 / イエズス会 / 織豊期 / ポルトガル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、令和2年度にひきつづき、コロナ禍の影響は避けがたく、見送らざるをえなかったもの、コロナ禍においても実施可能であったもの、オンラインに限定して実施可能であったものが存在した。それぞれについて述べていく。 最終年度の計画として、南欧における文献調査および研究の総括としての報告書の刊行、さらにはスーパーグローバル大学創成事業の枠組みのなかでのワークショップの開催が予定されていたが、令和2年度以来のコロナ禍を受け、すべて令和4年度に見送ることとなった。また、フロイス関係書籍データベースは大学院生の雇用をおこなうことができなかったため進展させることができなかった。 他方、東京大学史料編纂所収蔵史料に含まれる、フロイス関係の原本・写本情報の整理をおこなった。これについては、報告書への掲載に向けて、公表に適した形に情報を整える作業を令和2年度より実施しており、本年度もこれを継続した。 以上の困難および成果に加え、初年度から継続的に実施している以下の諸項目をオンラインにより可能な範囲でおこなった。それは第1に、初年度に実施した国際シンポジウム「南蛮史料研究の新地平」後掲研究会の実施形態の検討である。いまだ実施にはいたっていないものの、令和4年度中の開始をめざしている。第2に、フロイス『日本史』のポルトガル語原典および邦訳を比較、検討する研究会は、令和2年度にひきつづきオンラインにて実施し、本研究計画中に予定していた部分の検討をすべて終了することができた。令和4年度には、この内容を含め文献調査などの成果を盛り込み、報告書としていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前項記載のとおり、本研究の後半は、日欧の研究者の往来を前提とした計画であるため、コロナ禍による出入国制限の影響を避けることはできなかった。以下、研究実績の概要の項の後半と対応するように、進捗について述べていく。 第1に、東京大学史料編纂所収蔵史料に含まれる、フロイス関係の原本・写本情報の整理については、当初は海外文献調査をおこなううえでの基礎情報として活用するのに適した形で情報を集約していた。だが、海外出張の難しい現況を踏まえ、公表に適した形に整える作業へと切り換えて、現在に至っている。おおよその作業は終え、点検作業を実施中である。第2に、国際シンポジウム「南蛮史料研究の新地平」の報告者および一般参加者を中心としたメーリングリストを維持することで、今後の研究活動への布石とした。また、前項記載のとおり、後掲研究会実施にむけての検討をおこなった。第3に、フロイス『日本史』の研究会においては、原典(ポルトガル語)テキストおよび邦訳を検討しているが、このうち邦訳部分については、オンライン研究会実施を通じて、本研究計画期間中に予定されていた部分の検証をすべて終了した。 以上のとおり、個別作業については一定の進捗が確認できたものの、オンライン研究会などのコロナ禍の影響を受けにくい作業に絞って進行せざるをえなかった要素も多く、当初期待していた成果には到底およばない進捗となったことは否めない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度にひきつづき、本年度の諸活動はコロナ禍の影響を大きく受けたものとなった。以下、今後の推進方策について述べていく。 第1に、昨年度来の懸案である海外史料調査については、この間に若干の検討をおこない、8月後半から9月初旬にかけて、ローマ、マドリード、リスボンの諸機関で実施する予定である。ただし、コロナ禍による出入国管理、所属大学による海外出張認否などの条件により、令和4年度中の実施を断念することがありうる。第2に、フロイス『日本史』の研究会は、オンライン、あるいは環境が許すことを前提として対面開催による実施をし、本年度までの邦訳本文の検討成果に立脚し、脚注をつけ、報告書へ掲載しうる体裁、内容が整ったものとする予定である。最後に、上述の内容を含んだ報告書を、状況が許容する限り、令和4年度中に刊行、関係個人および機関へ配布する予定である。第3に、フロイス関係書籍データベースについては、大学院生の雇用が実現することを前提に、作業を再開し、報告書へ掲載しうる体裁、内容が整ったものとする予定である。第4に、東京大学史料編纂所収蔵史料に含まれる、フロイス関係の原本・写本情報の整理については、ひきつづき作業を実施して、成果を上記報告書に盛り込めるよう、その入稿より以前に完了させる予定である。 以上のなかには、依然として予断を許さないものもあり、令和4年度を超えて予算の繰り越しをおこなうことで実施する以外の方途を見いだせなくなる可能性がある。
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Causes of Carryover |
令和元年度にはコロナ禍を待たず、すでに報告した事情により次年度使用額が生じていた上、令和2年度、令和3年度には、コロナ禍により、南欧における文献調査、報告書作成、さらにはスーパーグローバル大学創成事業の枠組みのなかでのワークショップを断念せざるを得なくなったことを主たる理由として、次年度使用額が生じている。 令和4年度は、令和3年度に実施できなかった、南欧における文献調査および研究の総括としての報告書の刊行を見通しているが、コロナ禍による出入国条件により、計画の再変更を余儀なくされる可能性がある。申請時点で本研究が最終年度に予定していた、これまでの成果を確認する意味でのワークショップもしくは共同研究会に変えて、関係する研究テーマを有するキャリア初期研究者、とくに在外研究者を招聘してのワークショップ開催の可能性を模索する。これは本研究が主導するというよりは、スーパーグローバル大学創成事業の枠組みのなかで、必要があれば本研究も協力する形態での実施となる見通しである。組織は研究代表者がおこなう。これらの実施は、昨年度にひきつづきコロナ禍による出入国条件の緩和を前提とせざるをえないため、前提が充足しない場合には再検討を余儀なくされることがありうる。
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Research Products
(2 results)