2020 Fiscal Year Research-status Report
Study about the real state of unity of Japanese people under the symbolic emperor system: especialy in Postwar Okinawa
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19K00974
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Research Institution | The Institute of Politics and Economy |
Principal Investigator |
冨永 望 公益財団法人政治経済研究所, その他部局等, 研究員 (20572069)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 象徴天皇制 / 戦後天皇制 / 沖縄 / 復帰運動 / 反復帰論 / 建国記念の日 / 日の丸 / 君が代 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画の2年目も資料調査が主な予定であったが、新型コロナの感染拡大により、海外での調査は不可能となった。また、沖縄での調査も見合わせざるをえなかった。そのような中、課題であった先島地方の新聞記事については、国会図書館で『宮古時事新報』および『八重山毎日新聞』を1989年2月まで収集し、両紙については作業を完了した。また、旅費の分を史料購入費に回して、『近代沖縄新聞集成』DVD版のような、大部な史料を購入した。 沖縄において「反復帰」論が出現する以前に、建国記念の日、日の丸・君が代、靖国神社に対する批判の芽がどのように発言していたかを分析し、茶谷誠一編『象徴天皇制のゆくえ』に論文「戦後沖縄の新聞報道に見る天皇制批判―「反復帰」論出現の背景―」を寄稿した。 本稿の目的は、戦後沖縄の新聞における皇室報道を分析し、復帰以後に活性化する天皇制批判の源流を探ることにある。1969年に沖縄の日本復帰が確定すると、新川明らによって「反復帰」論が提起されるようになった。だが、新川以前にも沖縄県民が日本に対して抱く違和感の萌芽は、新聞報道を検証することで発見できる。建国記念の日は、沖縄においては早くから反対論が強かった。日の丸は1960年代まで復帰運動のシンボルであったが、君が代の方はあまり歌われなかった。靖国神社批判は、復帰後に宗教界から提起される。短命に終わった保守系新聞沖縄新報の存在からも、沖縄世論の多様性は明らかである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
米国と沖縄における史料調査を実施できず、史料収集が予定通りに進まなかった。そのような中で、論文「戦後沖縄の新聞報道に見る天皇制批判―「反復帰」論出現の背景―」を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き先島地方の新聞記事収集に努めるとともに、これまでの調査内容を反映した論文を発表する。ただし、新型コロナウイルスの影響により、東京以外での史料調査や研究会での報告は難しいと予想されるので、インターネットによる史料調査や郵送での資料請求を活用する。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染拡大により、内外での史料調査が不可能となったため、旅費の消化ができなくなり、その分を史料購入費に回したが、消化しきれなかった。
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Research Products
(1 results)