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2021 Fiscal Year Research-status Report

幕末維新政治史と儒教―熊本実学党の研究―

Research Project

Project/Area Number 19K00977
Research InstitutionYamaguchi University

Principal Investigator

池田 勇太  山口大学, 人文学部, 准教授 (30647714)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2023-03-31
Keywords熊本実学党 / 荻昌国 / 横井小楠 / 小河一敏 / 村田清風 / 長岡監物
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、熊本実学党に関する史料の調査・解読を基礎に、以下の三点に着目して研究を進めている。A.実学党の実態・思想・政治的軌跡などを明らかにすること。B.周辺人物の史料から実学党の行動やその置かれた政治状況などを明らかにすること。C.学党のネットワークを明らかにすること。
このうち、2022年度はAとCに関する研究を進めた。Aでは、下津家文書(個人蔵)の目録作成と、小河一敏文書(東京大学文学部所蔵)および久野正頼『筑紫衣』(熊本県立図書館蔵)の翻刻を進めた。小河一敏文書では、荻昌国兄弟の書簡を中心に解読した。安政年間に横井小楠が開国論に転じたことで横井と疎隔したとされる小河であるが、荻昌国との友情は深く、その没後も彼の書簡を軸装し、荻を「頗る有為の人にして、其志操高く逞しく、所謂有志の魁たる人なり」と高く評価していたことがわかった。また『筑紫衣』には、限られた時期ではあるものの、長岡監物の言動が詳しく記されている。朱子学を篤く実践し、徳望の人として知られる長岡監物が、具体的にどのような日常的言行をとっていたかが、その家臣の記録により詳細にわかる。
Cでは、山口県長門市にある村田清風記念館が所蔵する「村田清風関係文書」を調査し、荻昌国が佐賀藩士の渡辺雄三郎(隼人組、渡辺善左衛門倅)とともに弘化2年(1845)に萩の明倫館に山県大華を訪問したことがわかった。嘉永4年(1851)に横井小楠が萩に山県を訪ねた折、面会の申し込みに荻昌国の添書を送っているが、その前提となる荻の遊学を知ることができた。『村田清風全集』下巻には、横井小楠に宛てた村田清風の嘉永4年の書簡が掲載されており、そのなかに嘉永3年に萩藩の近藤晋一郎が熊本へ行き、荻より加藤清正の摺像を得た礼が書かれているが、熊本実学党と萩藩との結びつきに荻昌国がいたことが明らかになってきた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

2021年度は新型コロナ感染症の影響に加え、所属大学の研究費執行の締め切りが例年より2か月早められた関係で、県内への出張調査を除き、当初予定していた福井県・熊本県・鹿児島県・東京都への出張調査、及び昨年度より課題となった佐賀県立図書館と玉名市立歴史博物館こころピアへの出張調査は一切できなかった。このため県内での調査と、手持ちの史料写真によって研究を進めたが、当初の予定よりも遅れているといえる。

Strategy for Future Research Activity

当初計画に比して出張調査がこれまでほとんどできていないことから、今後は主として二つの対応策をとっていく。一つは、新型コロナの流行状況が引き続き楽観視できないことから、研究年度をもう一年延ばして、なるべく出張調査ができるようにする。そのうえで、これまでの研究によって課題として浮上してきた佐賀藩関係の史料調査と、玉名市歴史博物館こころピアへの調査を優先的に実施する。
もう一つは、前年度に引き続いて、既に撮影を終えた史料の整理・分析を重点的に実施する。具体的には、「小河一敏文書」の解読、下津家文書の整理、『筑紫衣』の翻刻を進める。

Causes of Carryover

2021年度は新型コロナ感染症の流行と所属大学の予算執行締め切りの前倒しにより、予定していた出張調査ができず、旅費が残ってしまった。この次年度使用額は、次年度の旅費として使用する予定である。

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Published: 2022-12-28  

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