2019 Fiscal Year Research-status Report
近代日本地域社会における「公議」の展開過程―郡中議事者を中心に
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19K00990
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
三村 昌司 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 人文社会科学群, 准教授 (40525929)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 郡中議事者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,研究実施計画に基づき,(1)中心となる地域資料群の調査と(2)新潟県維新期関連文献の集積、分析を行った。 (1)については、柏崎県で郡中議事者をつとめ、大区小区制期には小区長・大区長をつとめた金内嘉十郎関係の資料を調査するために、長岡市栃尾支所におもむき、写真撮影をおこなった。具体的には、特に明治2年から明治11年の期間に該当する簿冊の撮影を行った。その後、議事機関に関して記載のある箇所の分析を進めた。その結果、明治6年に第15区小2区長となった金内嘉十郎は、県の意向に加え、郡中議事者時代における経験をふまえて、小区会を開催していたことがわかった。 また、新潟県立文書館へ資料調査におもむき、明治6年から11年の『新潟県知報知』の調査を行い、新潟県内の議事機関に関する記事の収集を行った。 (2)については、本研究に関係する関連文献のうち、本年度は特に新潟県関係のものを集約した。具体的には『新潟県史』をはじめとした新潟県内の自治体史、新潟の地域史研究を集約し、維新期の府県分合の状況、栃尾地域の区画変遷の状況整理、さらにそれらについての研究状況を整理した。その結果、柏崎県で郡中議事者の設置をともなう行政区画の再編に関しては、旧来の身分制的秩序に由来する対立を、「生産」という隣接した村々で共通項をもつ編成に構成しなおすことで回避し、安定的な行政区画を創り出そうとする試みであることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、予定どおり資料調査を行うことができ、明治0年代における金内嘉十郎の動向を、郡中議事者の時期及び大区小区制期を中心にかなり明らかにすることができた。ただし、新潟県内の自治体史については、品切れや古書店との手続き・調整が不調に終わったこと、事務による調達手続に遅延が生じ不調に終わったことから、いくつか入手ができないものがあった。ただし、研究遂行が不可能になるようなものではなかったので、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、さらに郡中議事者及び新潟県内の大区小区制期に関連する資料調査を進める。また、学会報告を予定していたが、別途研究成果に関する論文の発表の機会を得たので、論文発表によって中途の研究成果を発信し、評価を受けたい。 また、中央政局との関連についての調査も開始し、中央と地方の双方から多面的に分析を進めることをめざす。 ただし、コロナウイルスの感染拡大状況によっては史料調査に制約がかかる可能性が考えられる。その場合、特に遠方への調査は来年度に繰り越す可能性も想定する。
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Causes of Carryover |
2019年4月に要求した図書について、手続きを進めていた業者が手続中途で倒産したこと加え、その後の調達手続について事務上の遅れが発生したため購入できず、次年度使用額が生じた。2020年度に改めて要求し購入する予定である。
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Research Products
(2 results)