2021 Fiscal Year Research-status Report
近代日本地域社会における「公議」の展開過程―郡中議事者を中心に
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19K00990
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
三村 昌司 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 人文社会科学群, 准教授 (40525929)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 公議 / 郡中議事者 / 柏崎県 / 地方民会 / 近代社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、(1)史料の収集と分析、(2)国際研究集会への参加を予定していた。 (1)史料の収集と分析については、昨年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の流行によって、所属機関からも出張自粛要請が出されていた期間が長かったことから、予定していた調査は延期せざるを得なかった。しかし、昨年度及び今年度の購入文献資料を中心に分析・検討を進め、昨年度までの研究成果をより広く日本の近世近代移行期ないしは明治維新史のなかに位置づけることができた。 具体的な成果としては、『史学雑誌』130編5号「2020年の歴史学会―回顧と展望」において「日本 近現代二 政治一」を担当執筆し、昨年度の成果である論考(「金内嘉十郎と衆議―新潟県栃尾郷を事例に」明治維新史学会編『明治維新史論集2 明治国家形成期の政と官』有志舎、2020年10月)を含め、2020年に発表された幕末維新期の「公議」政治の成果について、研究史上の意味を述べることができた。 また、歴史学会編『歴史総合 世界と日本―激変する地球人類の未来を読み解く』(戎光祥出版、2022年3月)に「身分制の廃止で社会はどう変わったのか」を執筆し、「公議」による政治を、日本の近世社会から近代社会への移行のなかに位置づけた。すなわち、日本においては明治初年に地方民会が設置されても、県令などが最終的な意思決定を行うという近世的な政治文化がしばらく残っていた。それでも、近代的な議会制度の導入と討論の経験の蓄積によって、議会の意思決定にかかわる人びとが、ひとりひとり意思をもった「個人」としてふるまいきっかけになったと評価した。 (2)については、韓国歴史問題研究所・アジア民衆史研究会共催の国際研究ワークショップに参加した。また同ワークショップで「日本近代史研究における民衆史研究」と題した研究発表も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度も新型コロナウイルス感染症の流行により、計画どおりの資料調査を行うことはできなかった。しかし、購入文献資料と、デジタルアーカイブを利用した史料調査などによって、これまでの研究成果をより広く日本の近世近代移行期ないしは明治維新史のなかに位置づける成果を出すことができたことから、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、実施できなかった資料調査を実施する。なお、新型コロナウイルス感染症の感染状況を注視しつつ計画の執行をはかる。また、政治学など関連する分野の文献資料調査を進め、明治維新期の地域社会における「公議」政治の展開をさらに広い視野から位置づける分析を行うことにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行によって、遠方への資料調査が実施できず、また参加予定の国際学会がオンライン開催となり旅費を使用しなかったため、次年度使用額が生じた。これらは今年度に資料調査を実施する費用に使用するとともに、文献資料の購入にあてる。
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Research Products
(6 results)