2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K00994
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
横田 冬彦 京都大学, 文学研究科, 名誉教授 (70166883)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 日本近世 / 日記史料 / 生活文化史 / 読者 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)本研究の前提として昨年度出版した『近世書物文化史の研究』(岩波書店)に対して、本年度、第40回日本出版学会賞、第17回徳川賞、第41回角川源義賞(歴史研究部門)が授与された。 (2)伊丹の酒造家八尾八左衛門の日記について、旧蔵者で八尾家の子孫を見出すことができ、なお残されている史料を閲覧・撮影、調査することができた(このため、計画の最終年度分科学研究費を一部前倒しで使用した)。目録を作成し、一部翻刻をした。また、同じ伊丹の酒造家で、八尾家の親戚である小西家文書を調査した。これらによって、八尾家の家譜をはじめ、日記の時代の同家の家族状況や背景を知るうえで、これまで不十分であった点を補うことができた。また、八左衛門日記については、未翻刻分の翻刻を行いながら、翻刻原稿の確認、内容・人名・事項などの検討をおこなう研究会を、ほぼ毎月行うことができた。 (3)これらの日記史料をもとにして、彼らの読書状況について、ライデン大学で催されたシンポジウム「書物の時代の宗教ー日本近世における神と仏の変遷ー」において「仏教書の読者」の報告をおこない(国外旅費を使用)、名古屋近世史研究会大会における招待講演と日本出版学会賞受賞記念講演において「日本近世の蔵書と読書―仏書をめぐって―」をおこなった。 (4)大和国の藤堂藩無足人・山本平左衛門の日記の分析をすすめ、論文「近世前期の出産」を完成し、学術誌『史林』に投稿、掲載が確定している。 (5)なお、10月に大学生協連盟生協総合研究所主催のシンポジウム「大学生の読書」において、招待講演「江戸時代の読者ー本を読むとはどういうことか―」をおこなうはずであったが、当日の台風上陸により中止された(レジュメは印刷配布された)(これは実績報告の学会発表欄には記載しなかった)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、研究対象としてあげた日記史料の調査、分析はおおむね順調に進んでおり、新たな成果も上がっているが、計画の最終目標とした史料集の出版刊行にはなお努力が必要と認識している。
|
Strategy for Future Research Activity |
ひきつづき、八尾八左衛門日記の翻刻・研究の研究会を継続し、史料集出版をめざす。また、森長右衛門日記についても、調査補助員を雇用して翻刻作業を進める。
|
Causes of Carryover |
今年度は、新たな史料の発見があり(実績概要(2)参照)、その写真撮影・目録作成・翻刻などの調査費用(調査補助員の謝金)が増えた。そのため、最終年度の補助金額から20000円を前倒ししたが、結局102417円の増加にとどまったので、差額97583円が残ることになった。次年度の研究の進度を見計らいながら、調査補助員の謝金とする。
|
Research Products
(6 results)