2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K00996
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中野 等 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (10301350)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 豊臣政権 / 太閤検地 / 国郡制 / 近世国家 / 豊臣家奉行 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍の影響にともなう特例的措置として、今年度の調査は基本的に補充的な内容のものとなった。具体的には、立命館大学、国立国会図書館、岡山県立図書館、愛媛県立歴史文化博物館、愛媛大学の調査を実施した。立命館大学の調査は同大文学部谷徹也准教授のご厚意で、池田秀雄関係の新発見史料を実見した。池田秀雄は秀吉の家臣で、大和郡山の豊臣秀長につけられ、その領国の検地にかかわり、さらに四国の伊予に領国を与えられたという経緯をもつ。池田秀雄についてはすでに国会図書館に池田伊予守文書が所蔵されており、これとの突合調査によって、更なる新知見の獲得が可能ではないかと考えた。国立国会図書館の調査はこれを踏まえつつ、全国的にみて太閤検地の実施に関与した豊臣家奉行の事績について、補充的な調査をおこなった。岡山県立図書館の調査は、宇喜多家による領国検地に関わるものである。岡山県立図書館に所蔵する県内の自治体史・地域史の定期刊行物の精査を実施し、検地を含めた、豊臣政権下の宇喜多領国について貴重な資料を入手することができた。宇喜多家は関ヶ原合戦後に改易されたため、領国支配の実態を究明するうえでの困難が大きかったが、地域史料を深掘りすることによって、新たな知見を獲得することができた。とりわけ、宇喜多家の旧臣についてかなり詳細な知見を得ることができた。宇喜多領検地と宇喜多家旧臣との具体的関わりについては、今後の課題とするが、従来必ずしも明確ではなかった宇喜多家の家臣団構成が具体化することで、研究の環境は大きく改善された。愛媛県立歴史文化博物館および愛媛大学の調査は、伊予国の太閤検地に関わるものである。 当初の三年プラス二年間の調査によって、太閤検地を国家史的に再定置するという計画は大きな成果を収めることができた。期間中の具体的刊行物としては『太閤検地』(中公新書)が最も大きな成果となる。
|
Research Products
(2 results)