2019 Fiscal Year Research-status Report
Research of the Arsacid material at the National Museum of Iran and other places
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19K01038
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
春田 晴郎 東海大学, 文化社会学部, 教授 (90266354)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イラン / パルティア / エリュマイス |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の研究実績の概要として以下の3点を挙げることができる。 1.9月にベルリン自由大学で開催された第9回ヨーロッパ・イラン学会 9th European Conference of Iranian Studies (ECIS9) において、“Neo-Elamite, Middle Iranian and related inscriptions on metalware kept in Japan”の題目で研究発表を行なった。イラン国立博物館所蔵資料を直接用いているわけではないが、パルティア期中期ペルシア語史料やサーサーン朝期パルティア語史料等本研究と関連性が高い資料について新知見を発表した。 2.やはりイラン国立博物館資料ではないが、パルティア期の新出エリュマイス資料に関して、7月の第26回ヘレニズム~イスラーム考古学研究会(金沢大学)において「サバーハ・コレクション銀器のエリュマイス銘文:パレオグラフィーと年代」というタイトルで発表を行なっている。これもパルティア時代のエリュマイス王国に関する新資料であり、とくに銀器のエリュマイス文字アラム語銘文は、紀元後2世紀後半のエリュマイス王国とアルシャク朝パルティアの関係を物語る根本的な史料であり、次に述べるアルタバーン4世浮彫の性格を考察する際にも重要な材料を提供する。 3.イラン国立博物館へは9月と12月に訪れ、博物館幹部と懇談しMOUの条件などについて話し合った。また、12月にはスーサ出土アルシャク朝最末期アルタバーン(アルダワーン)4世浮彫について試験的に撮影し、帰国後どの程度3D化できるか探った。 その他、2月に行なった国際ワークショップにおいても、パルティア時代と続くサーサーン朝時代史料に関する発表を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の内容面では、上述「研究実績の概要」のように順調に推移している。撮影資料に対して3D化を行なう(フォトグラメトリ―)ソフトウェア等についても(なお増強する必要はあるが)備えている。 一方、博物館とのMOUについての合意に12月の段階で結局到達せず、その後新型コロナの発生で2月中旬以降イランの状況がきわめて深刻化したこともあって、交渉は進展していない。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナの流行によってイラン、日本とも大きな影響を受け、少なくとも2020年度の前半はイランに出かけての調査は行ないがたい情勢である。また、このような状況であるからMOUについてもスムーズに進展するかどうかは分からない。本研究は3年間の科学研究費補助金による研究であって2021年度末には成果をまとめて発表し還元する必要がある。そのため、現地調査によって新規に資料を得ることが期待しにくい状況では、既発表資料や既撮影資料を有効に活用して研究することが求められる。
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Causes of Carryover |
外国旅費がドイツでの発表とイランでの研究打ち合わせを合わせたため、予定よりかなり膨らみ、残額が設備備品費にあてるにはやや少なくなった判断し、次年度の設備備品費に充当することにした。
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