2020 Fiscal Year Research-status Report
出土史料と文物考古資料からみた古代チベット帝国の文書行政と国家体制の研究
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19K01043
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
岩尾 一史 龍谷大学, 文学部, 准教授 (90566655)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 古チベット語 / 吐蕃 / 公文書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は世界的なコロナウイルスの蔓延とその感染防止策のため、海外渡航が事実上不可能となり、予定していた海外調査や海外での国際学会参加が全てキャンセルとなった。そこで、公文書を含む古チベット語文書の調査と内容読解を進めた。分析結果として、次のような2つの成果を得た。
1.坂尻彰宏氏(大阪大学准教授)と共著で、帰義軍期に発出された古チベット語公文書P.t.1171について論文を出版した。古代チベット帝国支配後の敦煌でも引き続き古チベット語が公私にわたり使用されていたことは知られているが、本文書は帰義軍期にもかかわらずチベット期の公印が使われるなど他に例がない特徴を持つ。本文書の発出時期、内容分析、そして公文書の書式変遷における本文書の意義について考察した。 2.アレクサンダー・ゾーリン氏(ロシア科学アカデミー東方写本研究所(サンクト・ペテルブルク))と共著で、同研究所所蔵の敦煌発現古チベット語世俗文書の整理を行い、その一部を論文として出版した。今回公刊できた12点に公文書は含まれていないものの、徴税に関わる文書1点、兵士の死亡にかかる報告が1点含まれており、他文書とあわせて今後分析を進めたい。
その他、中国国家図書館所蔵や甘粛省に所蔵される古チベット語文書についても既出版の目録や写真集に基づき調査を行い、関連する文書を収集した。さらに、近年新発見が相次ぐ古チベット語金石史料に関しても、西田愛氏(京都大学白眉センター准教授)の協力を得ながら再整理を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はコロナウイルスの世界的な流行と感染防止に伴う移動制限のため、予定していた海外調査や海外での国際学会参加が全てキャンセルとなった。しかしその代替として、本研究に関連する文書の整理と読解を十分に進めることができ、またその研究成果として論文2本を共著という形で出版することができた。また、古チベット語金石史料の整理も進んでいる。当初予定していた海外調査は本研究における目的の一つであり、それは果たせなかったものの、四年間の研究期間のスパンで考えると、その分文書整理・読解が進展した。その点において、本研究課題おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
世界的にみてコロナウイルスの感染防止策とそれに伴う海外・国内移動の制限は今年度もある程度は続くであろう。かかる見通しのもと、海外渡航を伴う調査、学会参加は相当の困難を伴うはずであり、まず実現不可能と考えるべきであろう。本研究でも当初は海外調査・国際学会参加を計画内に盛り込んでいるが、世界の状況を鑑みて、来年度以降に繰り下げることを視野に入れつつ、現時点でもできることに優先して取り組みたい。具体的には、公文書の読解と分析を続けたい。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの世界的蔓延のため、予定していた国際学会が取りやめになり、その参加分の費用が残った。
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Research Products
(2 results)