2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K01049
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡邊 竜太 東北大学, 国際文化研究科, GSICSフェロー (40596524)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 西洋現代史 / 東欧現代史 / チェコスロヴァキア現代史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年に研究代表者の肉親の病気・死亡があり、これに伴う介護や諸手続き等のため、同年を通じて研究を中断せねばならなかった。2023年度は、このために生じた遅れを回復するため、これまでの研究成果の整理、更なる史・資料の調査・入手・解読・整理に充て、成果の発表はできなかった。 昨年度は、戦間期チェコスロヴァキアにおける土地改革に関する先行研究、法令、同時代の政党機関誌などを検討し、土地分配おける森林の取り扱い及び市町村の森林取得、それをめぐる政策と森林の公共性をめぐる議論などを知ることができた。そして、土地改革に際して、分配法では、小農創設を目的に主に私人に分配された農地とは異なり、原則的に市町村や公共団体に分配されるよう規定されており、個人への分配は例外的、小規模で認められるに過ぎなかったこと、従って、立法の時点で公共の森林の創設が意図されたと考えられることなどが分かった。また、同時代の研究(L. E. Textor, Land reform in Czechoslovakia, London 1923, Appendix)より、チェコスロヴァキアの各地域別の森林面積、収用される面積に関する数値を知ることが分かり、同国製半部(チェコ)では、6割以上が収容されたことが明らかとなった。 更に、ヘプ地方の歴史に関する19世紀に半ばの文献(V. Proeckl, Eger und Egerland. Historisch und statistisch darstellt, Bd.1, Prag/Eger 1845)より、中世に遡るヘプ市の森林取得の歴史が明らかになると共に、三月前期の時点での状況を知ることができ、20世紀との比較の手掛かりが得られた。 本年度はこれらの成果の公表を目指し、研究を続ける。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前述の通り、研究代表者の肉親が2022年に末期癌と診断され、死亡したため、介護、葬祭、諸手続き、整理等が必要となり、同年を通じて研究を行うことができなかった。また、2023年度も、祭祀や整理等のため、頻繁に帰省し、研究を離れねばならなかった。このため、研究の進捗は非常に遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究によって、両大戦間期チェコスロヴァキアにおける森林の存在形態と市町村公有林の位置、土地改革における森林の位置づけ、その際の公共性をめぐる議論などが明らかになった。また、これまでに、市町村の森林所有の事例として、ヘプ市の市有林に関する史料を検討してきた。 今後は、上記分析の結果を整理すると共に、森林史やコモンズ、森林の公共性などに関する学際的な研究の成果の中にそれを位置づけることにより、これまでの研究の成果を論文として投稿することを目指す。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症拡大に伴い、史料収集のための海外渡航ができなかったこと、学会がオンライン開催になったことのため、旅費の支出がなく、次年度使用額が生じた。 今年度の海外渡航については、現地の状況を見て判断する。また、国内での史・資料の入手のために残額を使用する予定である。
|