2022 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀前半カリブ海の英西間の商船拿捕問題に見る国際的海洋法秩序の構築過程の分析
Project/Area Number |
19K01057
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
薩摩 真介 立命館大学, 文学部, 准教授 (70711125)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イギリス / スペイン / 海洋紛争 / 貿易 / 航行権 / 法 / 掠奪 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず最終年度の研究成果について述べる。2022年度は新型コロナウィルス感染症の蔓延も沈静化の兆しを見せ始めたため、ようやく海外への渡航が可能となった。その結果、2022年度の6月末から7月初頭にかけて、ポルトガルのポルト大学で開催された第八回国際海事史会議に出席し、研究成果の一部を報告することができた。また2023年3月には、コロナ開始以来、数年ぶりに海外での史料調査を再開でき、イギリスの文書館(大英図書館およびイギリス国立公文書館)での手稿資料調査を実施できた。 次に研究期間全体の研究成果であるが、新型コロナウィルス感染症の世界的蔓延により、当初予定していた複数回の海外文書館調査を断念せざるを得ず、当初の計画を大きく変更することとなり、研究が順調に進んだとは言えないのが実情である。ただしそのような中でも、コロナ以前の調査で得た史料の読解・分析や、本課題にかかわりの深い二次文献、特にスペイン領植民地史やイギリスの対スペイン領貿易関連の二次文献を読み進めることができた。また、自身の研究テーマに深い関わりのあるオンライン・データベース(オンライン一次史料集)であるBrill 社のPrize Papers Online 2を購入し、その収録史料の分析も進めた。このように本研究期間中は、海外に渡航できないという想定外の事態の中でも、計画を変更しつつ、可能な限り調査を進めた。 このような研究成果の一部は、英語での学術論文としてまとめ、2023年3月の追加史料調査の成果も踏まえて、現在その修正稿を作成している段階である。またPrize Papers Online2の収録史料の分析も、今後さらに進めていきたい。以上のように、研究期間中の研究の進捗や成果は新型コロナウィルス感染症の問題により当初の想定とは異なるものとはなったが、研究自体には一定の進展が見られた。
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