2019 Fiscal Year Research-status Report
Relationship between Paris and Provinces on the Museum Policy during the French Revolution - Distribution, Deposit and Delivery -
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19K01058
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
田中 佳 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 准教授 (70586312)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ルーヴル美術館 / フランス革命 / 文化財 / 地方美術館 / 文化政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)先行研究の把握と概要の整理:1801年のシャプタル令の発布に伴って、パリから地方への美術品の分配・移管を扱った先行研究を把握し、収集と調査を行った。その中で、本研究で調査の対象とする15の地方美術館への美術品の分配に関する一次史料の特定と所蔵先の資料番号の特定を可能な限り行った。 (2)研究調査旅行:9月にパリの国立古文書館、国立美術史研究所図書館、ルーヴル美術館絵画資料室等で一次史料の調査を行った。15の地方美術館への美術品の分配について、作者名、作品名が記されたリストや、額装や運送等に関する予算措置に関わる史料、地方から中央に当てられた要望等に関する貴重な史料を収集できた。今年度は15の地方美術館のうち、カン、ルアン、マルセイユに調査対象を定め、あらかじめカタログ等の調査によって、これらの美術館に分配された美術品のリストを作成し、画像も可能な限り確認したうえで、現地で作品の実見調査を行い写真を撮影した。カンとルアンについては、対象となる作品をかなりの程度実見できたが、マルセイユについては、改装直後のためか公開作品の数が限られており、今後、別の手段で調査を行う必要性が明らかとなった。ルアンについては、県文書館で美術館設立当時の一次史料を調査することができたが、整理が不十分で分析に時間を要している。 (3)地方への分配以前に中央に展示されていた美術品の研究として、ルーヴル美術館の展示について継続的に行ってきた調査結果の一部を紀要論文にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
地方により資料の保管状態に差があり、地方での一次史料の調査に想定よりも手間取っている。作品についての情報は、中央の機関に所蔵されている資料によっておおむね順調に把握できている。地方美術館開館当時の展示の様子については、資料の存在が確実ではないことも明らかとなってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降も毎年、地方美術館3館程度を調査対象に定めて、資料調査と作品の実見調査を行う計画を立てている。2020年度は現地調査の見通しは不透明であり、研究旅行が成立しない場合に備え、購入等により取り寄せ可能な文献やカタログ等の収集に努め、文字資料の整理を先取りしていくことも視野に入れる。また作品の写真については、必要に応じて現地の美術館と交渉し、写真購入の可能性も検討していく必要があるだろう。また今年度末に研究成果の一部を研究会で報告し、意見交換を行う予定であったが叶わなかったため、学術論文にまとめて公表することで他の研究者の意見を仰ぎたいと考えている。
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Causes of Carryover |
3月に予定していた国内学会参加と資料調査が出張自粛によりキャンセルとなったため。また2月から3月にかけて国外からの購入を予定していた研究文献も、流通事情の悪化により見送ったため次年度使用額が生じた。これは次年度にフランスほかで予定している研究調査旅費、および文献資料購入費と併せて使用する予定である。
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Research Products
(2 results)