2022 Fiscal Year Research-status Report
ホロコーストの経験・記憶がアメリカ・ユダヤ人の公民権運動への参加に与える影響
Project/Area Number |
19K01060
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
北 美幸 北九州市立大学, 外国語学部, 教授 (80347674)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アメリカ史 / 公民権運動 / ユダヤ人 / ホロコースト / 西洋史 / 人種・エスニシティ / アフリカ系アメリカ人 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年~29年度(2015~2017年度、2018年度まで延長)基盤(C)および国際共同研究強化により、アメリカ合衆国で1950~1960年代に展開された公民権運動に、白人ボランティアとして多数のユダヤ人の若者が献身的に参加していた事実が確認できた。ただし、同研究では同時に、参加者のユダヤ人は極めて信仰心が薄く世俗的である、すなわちユダヤ人としての意識が希薄であることが明らかになり、研究目的のひとつである「アメリカ・ユダヤ人の『社会的正義』の追求、ユダヤ人としての自己認識」については十分に明確化ができなかった。 そこで本研究では、今日、ユダヤ系アメリカ人のアイデンティティの核が「ユダヤ教の信奉」ではなく「ホロコーストの記憶・経験」であることに着目し、本人や親族がホロコーストを経験していたり、ナチス政権下のドイツに居住経験があったりという人物や組織に焦点をあて、文書館所蔵史料の分析および聞き取り調査を行いたいと考えた。これらの作業により、①参加したユダヤ人内部の多様性を描くとともに、②人口比を大幅に凌駕するユダヤ人が公民権運動に参加した理由と動機としてのホロコーストの位置づけについて、従来の見解に対する見直しを提起したい と考えている。
2022年度は、2020年度に翻訳出版したホロコーストサバイバーであるマリオン・イングラム氏の回想録『戦禍の中で』『平和の下で』を手がかりに、サバイバーの正義感、特に黒人差別を傍観すること対する意識をより深く考察し、単独での発表に加え、アフリカ系アメリカ人史、ドイツ史、アメリカ文学、宗教学等の他領域の研究者とのシンポジウムに登壇し、研究内容の深化・応用を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大および勤務先大学の海外渡航禁止の方針のため、現地での資料収集をキャンセルせざるを得ない状況が続いていたため。ただし、2022年度には、対面でしか開催されない学会発表のために渡航した。さらに今後は資料収集も再開できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに収集できた史料の資料の読み込み・分析を進める。勤務先大学の海外渡航禁止の方針が緩和されたため、今後は感染の程度およびアメリカ合衆国、日本の水際対策次第で、渡航しての資料収集も可能になると思われる。
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Causes of Carryover |
2020年度~2022年度のコロナ禍により海外出張・国内出張ができなかったことが、次年度使用額が生じた主な理由である。今後は、国内・海外ともに移動の制限がなくなるため、円滑に研究が遂行できる予定である。文書館等も、通常通り開館しているところが増えているため、今年度には学会発表、資料の収集等をおこなうことを計画している。
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