2019 Fiscal Year Research-status Report
A study on idea and institutions of representation in Meidieval Europe: A case of the papacy
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19K01062
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
藤崎 衛 上智大学, 文学部, 准教授 (50503869)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 代理 / 代表 / 中世 / 教皇権 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、ラテン語におけるrepraesentareの古代以降の語義の変遷をたどり、中世後期においてはじめてこの語が「代表」という用法を獲得していくことをH・ピトキンらの議論を踏まえて確認した。 次いで、マッカッローネによる教皇の称号に関する古典的研究(M. Maccarrone, Vicarius Christi. storia del titolo papale, Roma 1952)およびティアニーによる公会議主義の理論的基盤となる中世中期の教会法学者たちの議論に関する研究(B. Tierney, Foundations of the Conciliar Theory, Leiden 1997)を検討することにより、主に西洋中世の教会人や知識人たちによってローマ教皇がどのように理解されたのかを整理することができた。 教皇の称号については、11世紀以降の教会改革期に「ペトロの代理人」に対して「キリストの代理人」という表現が多用されるあらたな傾向が現れたことを確認した。また、13世紀以降、フランスなどの世俗王権と教皇権との間の優劣が知識人たちにより議論される際、キリストを代理することの意味や代理がどの程度のものであるかという点などが深く追究され、教皇権を擁護するにせよ限定づけるにせよ、理論の深化が進んだことを明らかにすることができた。 公会議理論に関しては、14世紀の教皇並立(シスマ)を契機として、その解決を求める過程で教皇の権威や公会議に関する議論が進展した。ただし、それ以前に教会法の発展とともに法学者たちが普遍的教会や個別地域的教会について「神秘体(copus mysticum)」や「信者の総体(congregatio fidelium)」などの概念が用いられたことを跡づけることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の作業として、先行研究のサーベイを進め、必要な文献の入手と一定程度の検討を進めることができた。特に、「代表する(repraesentare)」、「代理人(vicarius; procurator)」等の概念をめぐる学説史の整理を行い、先行研究を批判的に検討するという、当初の研究計画に含めた概念史の研究を進展させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
概念史の研究として、「使節(legatus; missus, nuntius等)」、「委任された者(delegatus)」等に関する学説史の整理を行い、先行研究を批判的に検討する。また、実態面の研究として、西欧各地の聖俗機関の在ローマ代理人に関する史料調査を実施する。研究成果は学会や研究会での報告や論文作成において発表する。
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Causes of Carryover |
体調不良のため、当初予定していた海外出張を取りやめため、今年度旅費等の使用がなかったことによる。この分は次年度使用する予定である。
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[Book] 歴史家の調弦2019
Author(s)
上智大学文学部史学科編, 藤崎衛
Total Pages
ix, 358
Publisher
上智大学出版
ISBN
9784324106709