2021 Fiscal Year Research-status Report
A study on idea and institutions of representation in Meidieval Europe: A case of the papacy
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19K01062
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤崎 衛 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (50503869)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 代理 / 教皇権 |
Outline of Annual Research Achievements |
教皇権はイスラーム勢力やモンゴル勢力と接触する過程において、宣教活動を活発化させていくが、その際に教皇の使者として托鉢修道会が活躍することとなった。教皇の代理または使者としての托鉢修道会士たちが他者と接する実際の現場でいかにしてコミュニケーションを展開したのかということは重要な問題であり、今年度はその課題にも取り組んだ。 かかる調査の現状報告と現時点での成果は、"Knowledge, Study and Teaching of Foreign Languages in Thirteenth- and Fourteenth-Century Papal Curia"としてドイツの研究者を中心とする研究会において口頭発表することができた。そこでは、教皇および教皇宮廷周辺の者たちが外国語の習得や教育に相応の関心を寄せ、施策を講じていたことを明らかにしたが、同時にそのような関心と努力はむしろ現場の托鉢修道会士たちの実情に即したものであったということを提示した。関連する成果として、「中世カトリック圏ヨーロッパとモンゴルの間における相互理解と誤解」と題する口頭報告をメトロポリタン史学回の大会シンポジウムで行い、異文化間のコミュニケーションの実態とそこで生じる様々な困難を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画で目指した公会議主義の再検討を手掛けることはできなかったが、その一方で宣教活動における托鉢修道会士の活動についての調査を文献の収集及びそれらの検討を通して進展させることができた。その成果の一端を国際的な研究会において発表し、その際の議論を通してフィードバックを得ることもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に向け、これまで蓄積した個別の検討結果を総合し、研究の総括を図る。また、現時点で調査が不十分な公会議主義の再検討や枢機卿団を含めた教皇権の意思決定の実態と変遷の解明に着手する。得られた成果は論文または報告書の形にまとめるよう努める。そのうえで、本研究を踏まえてさらなる発展的な研究課題の設定を試みる。
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Causes of Carryover |
当初予定していた文献調査のための海外出張が新型コロナウイルス感染症の感染拡大により実施できなかったことによる。次年度は国内外の出張および文献収集やそれに伴う資料整理等のための謝金などの使用を計画している。
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Research Products
(8 results)