2022 Fiscal Year Research-status Report
documents as a product of negotiation: comparative studies on leases in the early medieval Campania
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19K01066
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
西村 善矢 名城大学, 人間学部, 教授 (30402382)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アマルフィ / 領主制 / 農地契約文書 / 商業 / 栗 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、イタリア南部カンパニア地方の農地契約文書を対象に、文書形式と契約内容の分析を通して、当事者双方の文書実践の諸側面を明らかにすることを目的としている。2022年度は前年度に引き続きビザンツ的伝統のもとにあるアマルフィ地方に伝来する農地契約文書を対象とする研究を実施した。その際、前年度に検討対象とした紀元1200年までの文書約60点に加え、概要のみの残る史料を含む文書約40点、計約100点を対象に、上記の問題に取り組んだ。そこでは、起伏豊かなアマルフィ地方の独自性に留意するとともに、都市と後背地たる農村部の関係に注目した。
その結果、以下の結論が得られた。10・11世紀には都市に拠点を有する聖俗領主や都市民に加え、農村住民も程度の差こそあれ葡萄畑や栗林の経営を通して海上商業に参加していた。しかし12世紀、とりわけノルマン人によるアマルフィ征服以降、商業活動が聖俗領主層や都市民に限定され、農村住民が徐々に山地の自給自足的な農業の世界に閉じ込められていく。そのことは、小麦をはじめとする穀物栽培に適さない起伏豊かな地形に特徴づけられるアマルフィ地方において、小麦が12世紀アマルフィ農村住民の手に届きにくくなり、栗が小麦の代替食と化していたという事実が、領主・農民間の契約交渉過程で後から加筆された箇所の分析から浮かび上がってきたことからも裏付けられる。
なお、ビザンツ史研究の第一人者ジュディス・へリン著、井上浩一訳『ラヴェンナ』(白水社、2022年)の新刊紹介・書評を発表した。中世初期イタリアはビザンツ領域とランゴバルド(カロリング)領域から構成されるが、ビザンツ領イタリアの中心都市であったラヴェンナの歴史に関する研究は、ビザンツ領とランゴバルド領の比較研究を行う本課題にとっても有意義である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度はナポリ文書に着手する予定であったが、引き続きアマルフィ文書の分析を継続した。アマルフィ地方について、前年度の段階で未入手、未読の契約文書群があるまとまりをもって残っていたからである。アマルフィ文書の特徴として、文書が各教会組織にばらばらに伝来していることが挙げられる。 また、2022年度にはイタリアから研究者を日本に招聘し、講演会(研究会)を行う予定であったが、コロナ禍の継続する中でこの計画を実現できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度には、ナポリ地方を対象とする農地契約文書を検討対象とし、領主・農民双方の文書実践や領主・農民関係について検討を加えるとともに、この研究成果をカンパニア地方の他地域の成果と照合し、比較検討したい。また、農地契約と密接に関連する粉挽水車にかかわる借地契約・売買契約についても検討対象としたい。 なお、次年度にはイタリアから研究者を招聘して、講演会(研究会)を組織する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、コロナ禍の継続により、イタリアから研究者を日本に招聘して開催予定であった研究会(講演会)、および予定していた海外出張が実施できなかったことによる。海外との交流が平常に戻りはじめた今年度には、延期してきたこの講演会を実施するとともに、資料調査・研究打合せのためイタリア出張を行う予定である。
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Research Products
(2 results)