2020 Fiscal Year Research-status Report
Religious Conversion in Modern Hungary
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19K01078
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
渡邊 昭子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (20293144)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 改宗 / ローマ・カトリック / 近世 / 嘆願 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究動向の調査と分析、ならびに、前年度までに収集してきた史料の読解と分析を中心に研究を進めた。とくにエゲルのローマ・カトリック教会文書館の「改宗」史料に焦点を絞り、この史料の最初期の18世紀後半の文書を中心に検討した。史料の多くは改宗者あるいは改宗希望者の嘆願に関連することから、嘆願の内容を整理し、「改宗者は教会に何を求めたのか―一八世紀後半のエゲル司教座の「改宗」文書から―」の題で論文にまとめて公表した。18世紀後半のハンガリーは、国家と教会が協力してカトリック化を進めていた宗派化の時代の末期にあたり、その転換点でもあった。18世紀末近くまでローマ・カトリックからの改宗がほぼ禁じられていたことから、史料上ではほとんどがローマ・カトリックへの改宗である。カルヴァン派が最も多く、次にルター派、そして、正教、ユダヤ教、ギリシア・カトリック、ウニターリウシュ(ユニテリアン)の者も改宗を望み、また、実際に改宗した。改宗において信仰上の理由は当然語られていたが、司教に対して嘆願者が具体的に求めたのは、第一に、衣食住での支援、就職、教育、子の養育、病気の治療などの生活上の支援であり、第二に婚姻関係の問題の解決だった。文書からは、教会がある程度これらの嘆願を受け入れて支援を与えていたことも読み取れる。対象とした時期の末期には、ヨーゼフ二世の寛容令とその後の政策により、カトリックからの改宗も可能になり、実際に改宗した事例もみられた。このように18世紀後半の改宗の状況を明らかにし、また、この作業により、以後の時代の改宗を分析するための基礎を据えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大のため、予定していた資史料収集を延期せざるをえなくなったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き資史料の収集と分析を進める。新型コロナウイルス感染拡大のために国外への渡航が今年度も困難である場合は、現在手元にある資史料をもとに、内容を絞り込んだミクロな分析を中心におこなう。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大のため、予定していた現地調査を取りやめざるをえなかったため。今年度は、渡航が可能になった場合は現地調査に使用し、困難な場合にはインターネットでの調査と資料整理にあてる計画である。
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Research Products
(1 results)