2020 Fiscal Year Research-status Report
Reforming Time in the British Empire
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19K01085
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
石橋 悠人 中央大学, 文学部, 准教授 (90724196)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | グリニッジ天文台 / 標準時 / 時間の標準化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度には、イギリス帝国各地に流通した多様な科学機器、望遠鏡、時計などの装置の移動について、アーカイブズ史料に基づいて詳しく検討した。とくに天文学者、機器・時計メーカー、植民地政府、植民地の科学者・技師たちのネットワークとそれぞれの役割を詳細に分析することに力点を置いた。ロンドンのグリニッジ天文台長の役割を中心に分析したが、これに加えて、同天文台を取り巻く研究環境・制度についてもより広い視点から考察を深めた。このテーマに関連して、次の論文を発表した。
研究実績① 「海軍の科学研究体制―時間と空間の科学」大野誠編『近代イギリス科学の社会史』(2021年)では、グリニッジ天文台の監督機関である海軍省が、潮汐・地磁気・気象・天文などの学問領域で、科学研究の重要な拠点として機能していたことを明らかにした。19世紀前半に海軍が時間と空間の科学研究を重視し、国家が関与する研究体制を構築したことを明らかにしたが、この点はグリニッジ天文台や関連する部局が、帝国・世界的な規模で時間の精密計測と伝達のための技術移転を推進するための背景として重要な意義を持っていた点を把握することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一次史料、二次文献の読解・分析、論文の執筆・出版状況、学会報告の状況が、当初の計画からそれほど大きく遅れていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
世界的な感染症の流行により、海外における史料調査に大きな支障が生じている。この状況に対応するために、オンラインデータベースの活用や既に入手している資料・文献の分析にいっそう注力することで、研究の進捗に大きな遅れを生じさせないように取り組みたい。
次年度は最終年度にあたるため、本科研を総括するような研究成果をまとめることを重要課題としたい。
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Causes of Carryover |
世界的な感染症の流行の為、当初予定していた海外における史料調査が実施できなかったため、次年度使用額が発生した。次年度にも海外での史料調査に支障が出ることが見込まれるが、文献資料の購入を中心に予算を活用したい。
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