2021 Fiscal Year Research-status Report
Reforming Time in the British Empire
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19K01085
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
石橋 悠人 中央大学, 文学部, 教授 (90724196)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | グリニッジ天文台 / イギリス帝国 / 時間意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度には、大きく二つの課題について研究を進めた。 ①グリニッジ天文台の内部構造:グリニッジ天文台はイギリス帝国における時間・空間に関する技術や研究の拠点であり、19世紀後半には本初子午線の通過地点として国際的にも承認される。このため、同天文台の活動や運営の構造を詳しく把握することは、時間意識の変革を刺激する科学・技術の発展とイギリス帝国の拡大の関係を把握しようとする本研究にとって、重要な課題となる。そこで今年度には天文台の活動を具体的に支えるスタッフの在り方に焦点を絞った。とくに19世紀末に初めて雇用された女性天文学者たちの研究や仕事に着目し、彼女たちがどのような経緯で雇用され、いかなる研究成果を残したかを明らかにした。
②近代イギリスにおける時間意識の研究動向:近年の研究では、近世・近代イギリスにおける時間意識や時計の普及・利用に関する新たな興味深い解釈が次々と提起されている。時間意識の厳密化・正確化の要因として工業化を指摘する議論は根強いが、最近の研究は近世期の都市と農村における時計時間の広がりや工場労働以外での厳密な時間規律の内面化の契機を強調し、従来の見方とは異なる図柄を描きつつあると言える。このような新たな研究の動向を把握するために、時間意識・規律・時計時間の広がりに関する先行研究を、産業革命・帝国主義・世界の時間の標準化という三つの観点から整理し、今後の課題について考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度も海外での文献・資料調査を実施することができず、国内で閲覧できる資料やオンラインデータベースなどを活用した研究を中心に行った。当初計画で予定していた海外での一次史料の調査に遅れが生じていることから、研究の進捗全体にも遅れが発生している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度には海外での資料調査を行うことを予定している。まずは調査が必要な資料の所在やアクセス方法をあらためて確認し、効率的な資料収集を行いたい。
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Causes of Carryover |
当初予定していた海外での資料調査や学会発表を実施できなかったため、未使用額が発生した。次年度には、海外での資料調査を予定しており、そのために使用したい。
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