2021 Fiscal Year Research-status Report
第一次世界大戦前のドイツ民衆の戦争肯定論形成のモデル化
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19K01086
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
中島 浩貴 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (00599863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸畠 宏太 敬和学園大学, 人文学部, 教授 (20202335)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 戦争肯定論 / 民衆 / ふつうの人々 / 軍事雑誌 / 在郷軍人会 / 軍事団体 / 近未来戦争小説 |
Outline of Annual Research Achievements |
旧年に引き続き、コロナ禍のため予定していた訪独調査ができなかったため、現状分析可能な史料での分析を行った。今後も訪独調査が難しい状況が予想されるため、現状で可能な範囲での研究活動を行う方向で努力している。令和3年度では、本科研に関する研究として、論文2本(丸畠宏太「忘れられたプロイセン将軍カール・フォン・デッカー 一般兵役義務の軍隊と国民の教化―」『敬和学園大学研究紀要』第31号、2022年2月、45-60頁;中島浩貴「ドイツ軍事雑誌における日露戦争の受容」『軍事史学』第57巻4号(通巻228号)、2022年3月、78-97頁。)、著書1冊(新谷卓、中島浩貴、鈴木健雄編著『歴史のなかのラディカリズム』彩流社、2021年)を出版・発表できた。
また、日本クラウゼヴィッツ学会研究大会(令和3年10月16日、Zoom開催)でも、「戦争の前に 第一次世界大戦以前の民間の軍事論」(司会:中島浩貴)、深町悟 「イギリスの侵攻小説」、鈴木重周「ユダヤ系フランス人の対独復讐論」、丸畠宏太「ドイツの兵隊もの小説」という比較研究のシンポジウムを開催し、第一次世界大戦前の戦争肯定論が極めて多様性を持ち、さまざまなメディアにより性質の違う特徴を持っていたこと、また論者の置かれた社会的背景がその主張に大きく関係してくることが示された。
本年度の科研集会として、令和3年5月15日土曜20-22時(Zoom開催)に年度内の研究活動を確定した。令和3ー4年度への予算引継ぎ、研究期間の延長、シンポジウムの開催等の話し合いを行った。また、8月19日木曜14時-16時(Zoom開催)にも、クラウゼヴィッツ学会研究大会での企画案、研究報告の状況等の会議を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍での研究の遅延状況について、英仏独の戦争肯定論に関するシンポジウムの開催を行うことにより、比較研究の端緒とすることができた。また、第一次世界大戦前のドイツの軍事的な認識に関係の深い、日露戦争に関するドイツ側の受容状況に関する論説を明らかにすることができ、この点研究の進展について大いに前進した。令和4年度も、論文や講演での報告を予定しており、さらに研究の進展を図る予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年もコロナ禍が継続しており、訪独調査が可能か不確定な状況のため、現状で入手している史資料で可能な研究を行う予定である。現在、入手している史資料の分析で、ドイツ民衆の戦争肯定論に直結する言説分析に必要な最低限の資料は入手出来ている。
今年度は戦争観に関係するテクノロジーへの視点を比較研究するシンポジウム(令和4年10月を予定)を準備している。このシンポジウムでは、第一次世界大戦前の技術認識が、世界大戦前に民間人に対し、どのような機能を果たしていたのかを分析する予定である。また、第一次世界大戦直前期の民間人における軍事文化、戦争肯定論を雑誌記事から分析する試みも進行中であり、これも論文として投稿していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、訪独調査ができなかったため。本年も訪独調査の可能性について不安が残るため、現地よりの史料取り寄せや史料購入費用など、研究の推進に必要な経費支出を検討中である。
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