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2021 Fiscal Year Research-status Report

Holocaust trials in the Federal Republic of Germany during the 1950s and 60s

Research Project

Project/Area Number 19K01088
Research InstitutionGakushuin Women's College

Principal Investigator

武井 彩佳  学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (40409579)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2023-03-31
Keywordsホロコースト / 司法訴追 / ドイツ連邦共和国
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、ホロコーストの実行犯に対する1950~1960年代のドイツ連邦共和国の裁判例を分析し、「過去の克服」における司法の役割を歴史学的観点から再検証するものである。ドイツは現在に至るまでナチ犯罪人を起訴しているが、これは2010年代に入って新たに訴追されるケースが出てきたためである。つまり、50/60年代に基盤が形成された訴追の法理や解釈が変化したと推定される。連邦共和国の初期において判例が積み上げられる中で、犯罪者やその犯罪の性格に関してどのような解釈が主流化したのかを明らかにすることで、後の時代の変化の背景を浮き上がらせることができる。
本年度は本来の計画では最終年度であったが、コロナ感染症蔓延ゆえに海外渡航が阻まれる状態が続き、国内で資料収集を行う必要があった。唯一可能であったのが、データベース化された40巻ほどの判例集(C.F. Ruetter/Dick de Mildt (Hg.), Justiz und NS-Verbrechen: Sammlung deutscher Strafurteile Wegen Nationalsozialistischer Toettungsverbrechen,以下Justiz und NS-Verbrechen)にある判決文を読みこみ、その整理と分類を行うことであった。このDBは有償で公開されていたが、本年度の後半より無償公開へと切り替わったため、主にこれを利用して資料収集を行った。DBの利点は網羅的に検察できることだが、このDBに収録されている判例は、個人情報保護の観点から死刑判決が出た判決以外は被告名が伏せられている。このため判決日と訴状からホロコーストに関連する裁判を特定する必要があり、この作業自体が相当な時間を要したため、分析結果を論文にするまでには至らなかった。このため、研究期間を1年延長することとした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

コロナ感染症蔓延ゆえに現地で史料が入手できない中、いかに研究を進めるか模索した。判例集Justiz und NS-VerbrechenのDBは閲覧が有償であったため、個人で契約するには極めて高額であるが、渡航の見込みが立たなかったため、契約を検討していた。版元と交渉を始めようとしたところ、無償公開される予定であるとの情報を得たため、これを待つこととなった。実際に令和3年度後半よりインターネット上での公開が始まり、利用できるようになったが、結果として具体的な裁判資料の分析の開始が遅れ、これが進捗が遅れた理由である。また、DBに収録されているのは判決文だけであり、これらからは検察における検討や、最終的な判決に至った背景を知ることは難しい。したがって結局現地で判決文以外の史料を収集せざるを得ないことが判明した。つまり、進捗は資料収集の段階から遅れており、まだ成果と言えるまでの研究が進んでいない。

Strategy for Future Research Activity

まず特定のホロコースト裁判をこのDBのなかから同定し、裁判の展開を時系列で追えるように基礎資料の整理を完了する。この作業を次年度の前半に行う(4月~8月)。その後、サバティカルでの渡欧を予定しており、文書館において実際の史料収集が可能となる。その際には、ミュンヘンの現代史研究所(IfZ)の裁判資料のDBを利用して、どのような史料がどの文書館に存在するかを調べ、これをもとにルートヴィヒスブルクの連邦文書館分館などで実際の資料収集を開始する。来年度中に論文の執筆ができる状態まで史料の分析を進める。

Causes of Carryover

本年度予算で購入を予定していたDBが無料公開されることとなったため、執行予定であった予算が予期せず浮く事態となった。同時に令和4年より海外長期研修に出ることが決まった。現地での資料収集の見込みが立ったことにより、本年度の執行を見送り、来年度の現地でのリサーチの際に執行することとした。

  • Research Products

    (6 results)

All 2022 2021 Other

All Presentation (4 results) (of which Invited: 4 results) Book (1 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] 歴史修正主義とは何か2022

    • Author(s)
      武井彩佳
    • Organizer
      シノドス トークラウンジ
    • Invited
  • [Presentation] ホロコースト否定論-欧米社会はどのように向き合ったか2022

    • Author(s)
      武井彩佳
    • Organizer
      ホロコースト教育資料センター
    • Invited
  • [Presentation] ホロコースト後のドイツのユダヤ人-新しい移民社会の誕生2022

    • Author(s)
      武井彩佳
    • Organizer
      大東文化大学語学教育研究所
    • Invited
  • [Presentation] 歴史と法ー歴史修正主義的な言説といかに向き合うか2021

    • Author(s)
      武井彩佳
    • Organizer
      早稲田大学ナショナリズム/エスニシティ研究所WINE
    • Invited
  • [Book] 歴史修正主義ーヒトラー賛美、ホロコースト否定論から法規制まで2021

    • Author(s)
      武井彩佳
    • Total Pages
      250
    • Publisher
      中央公論新社
    • ISBN
      4121026640
  • [Remarks] 歴史修正主義とウクライナ戦争

    • URL

      https://synodos.jp/library/28117/

URL: 

Published: 2022-12-28  

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