2020 Fiscal Year Research-status Report
考古発掘調査に伴う地域社会のアイデンティティの変化を検証する方法論構築
Project/Area Number |
19K01093
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 陽 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (00771867)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | パブリックアーケオロジー / 文化遺産研究 / 考古学 / 文化資源学 / 発掘調査 / 地域社会のアイデンティティ / ソンマ・ヴェスヴィアーナ / 「アウグストゥスの別荘」遺跡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、考古発掘調査が地域社会のアイデンティティ形成にどのような変化を及ぼすのかを検証するための方法論を構築することを目指す。東京大学を中心とした調査団がイタリアのソンマ・ヴェスヴィアーナ(以下「ソンマ」)の通称「アウグストゥスの別荘」遺跡で行っている発掘調査を事例とし、ソンマ住民による町の歴史・文化の語り方(発話)、記し方(文章)、表し方(非言語表現)の分析を通して、発掘調査が地元社会のアイデンティティ形成にどのような影響を与えるかを実証的に検証する。 本研究において主な分析対象となる三種類のデータ群(①発話データ、②文章データ、③非言語表現データ)については、2019年度に整理・分析作業を終えている。2020年度は、この分析結果を確認するためにソンマでフィールドワークを行う予定であったが、コロナ禍のためにイタリア渡航が不可能となり、実施できなかった。そこで代わりに、1930年代の「アウグストゥスの別荘」遺跡の発掘調査記録を整理・分析し、1930年代から現行の発掘調査が開始する2001年までの間に、ソンマにおいて同遺跡がどのように語られ、記され、表されていたのかを検証した。また、ソンマに伝わるジョヴァンナ女王に関する伝承について整理・分析し、同伝説との関連で「アウグストゥスの別荘」遺跡が解釈されるという現象を説明するためのデータ群をデジタルアーカイブ化した。 2020年度の特筆すべき出版業績としては、学術雑誌『Amoenitas』第8号に論文「Public archaeology at the so-called “Villa of Augustus” in Somma Vesuviana」が掲載されたことが挙げられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究において主な分析対象となる三種類のデータ群(①発話データ、②文章データ、③非言語表現データ)については、2019年度に整理・分析作業を終えている。しかし、この分析結果を確認すべく2020年度に予定していたフィールドワークは、コロナ禍のためにイタリア渡航が不可能となり、実施できなかった。2021年度こそフィールドワークを行いたいと考えているが、コロナ禍収束の見通しが立っておらず、実現可能かどうかは現時点では不明である。
|
Strategy for Future Research Activity |
イタリアならびに日本におけるコロナ禍の状況次第ではあるが、2021年度はイタリア出張を行い、ソンマでフィールドワークを実施したいと考えている。ソンマ訪問が不可能な場合には、文献調査やオンラインミーティングツールを活用して研究を進める。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍のために2020年度に予定していたフィールドワークのためのイタリア渡航が不可能となったため。今後のコロナ禍の状況次第ではあるが、2021年度にはイタリア渡航を実施して使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)